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戦国異伝供書

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第四十四話 上田原の戦いその六

「砥石城をな」
「攻め落とし」
「それからな」
「葛葉城を攻めますか」
「そうする」
「それはよいですが」
 今度は板垣が晴信に言ってきた、注意している顔だ。
「しかし」
「あの城はな」
「かなり堅固といいますか」
「険しいと言っていいな」
「そうした城です」
 まさにというのだ。
「ですから」
「攻め落とすにしてもな」
「苦労しますな」
「それじゃ、足軽達に山、いや崖を登らせてもな」
「上から攻められて」
「崩されてじゃ」
 そうなってというのだ。
「返り討ちに遭ってしまう」
「そうなりますな」
「折角上田原で勝ったが」
「その勝ちもですな」
「台無しになりかねぬ」
 砥石城で負けてはというのだ。
「だからじゃ」
「あの城については」
「力技で攻められぬなら」
「他の攻め方ですな」
「それで攻めてじゃ」
 そうしてというのだ。
「攻め落とす」
「そうしますな」
「ここはな、ではな」
「忍の者ですな」
 甘利が鋭い顔になり晴信に述べた。
「あの者達をですな」
「そうなりますな」
「うむ、丁度真田の者達がおる」
「都合がよいですな」
「実にな、あの者達を使い」
 そしてというのだ。
「城を攻めるとするか」
「それがよいですな」
「うむ、使える手は全て使う」
「そうして戦うのが戦なので」
「だからじゃ」
 それ故にというのだ。
「忍の者達それにな」
「知恵ですな」
 板垣も述べた。
「それも使いますな」
「幾ら険しくとも決して攻め落とせぬ城があるか」
「それはないですな」
「例えば守る者が駄目なら落ちる」 
 どの様に堅固な城でもというのだ。
「いつも言っておるが人は城であり堀であり石垣じゃな」
「はい、お館様のお言葉ですな」
「城よりも人ですな」
「如何なる堅固な城よりも人です」
「人こそが大事です」
「だから守っている者が弱いと」
 それならというのだ。
「自然と落ちる城になる、そしてな」
「強き者が守っていても」
「それでもですな」
「決して攻め落とせぬ城はない」
「必ず攻め落とせますな」
「だからじゃ」
 それ故にというのだ。
「砥石城もな」
「忍の者達と知略を使い」
「そして攻め落とす」
「それからですな」
「さらにですな」
「そこから葛葉城を攻めればじゃ」
 そうすればというのだ。 
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