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星河の覇皇

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第七十一部第二章 ゾロアスター級超巨大戦艦その二十二

「万全に動かせています」
「指揮、統率をだな」
「出来ています」
「元々それを想定して開発、建造されていたが」
「それをです」
「完全にだな」
「出来ています」
 ワフラはマシュハドに確かな声で答えた。
「これは凄い戦艦です」
「ただ戦力として恐ろしいだけでない」
「指揮、統率においても」
「万全だな」
「よくこれだけの兵器を造り上げられたものです」
「連合の技術にだ」 
 それにだった、マシュハドが気付いたものは。
「開発、建造を考える思想、システムだな」
「合理的ですね」
「そして斬新だ」 
 他の国々に比べてだ。
「艦隊ではなくだ」
「軍での運用を考える」
「これまでは艦隊で考えていた」
 どの国も運用をだ、これはそもそも人口やそこから出される軍の規模も関係している。連合の多くの人口故にでもあるのだ。
「百個艦隊を一つの単位としてだ」
「作戦を考察し立案し」
「運用するな」
「そのシステムがあり」
「それを合理的に運用するだ」
 まさにその為にというのだ。
「連合は考えたのだ」
「この超巨大戦艦を」
「それが違う」
「他の国とは」
「連合という国自体が違う」
 そもそもというのだ。
「この国はな」
「他の国に比して圧倒的ですね」
「わしもそう思う、だが軍事には力を入れていない」
「これでも」
「あくまで産業と貿易、民間技術とだ」
「開発、開拓に」
「力を注いでいる」
 そしてそうしたものを守る治安維持にもだ、マシュハドもまた連合が内政を最優先する国だと認識している。
「国力のかなりをな」
「そしてそのうえで」
「さらに豊かになりだ」
「また内政に力を注ぎ」
「豊かになろうとする国だ」
 つまりひたすら豊かになることを目指しているのだ。
「内政の国だ」
「軍事よりも」
「軍事はだ」
 彼等から見て圧倒的なそれもというのだ。
「あくまで最低限のものだ」
「これで」
「このことも恐ろしい」 
 こうワフラに言うのだった。
「サハラから逃げてきたわしにとってはな」
「司令もでしたね」
「この手はだ」
 白い手袋に覆われた左手を見せた、一見して普通の手だが。
「義手だがな」
「機械の」
「今では連合の技術のだ」
 それで造られた、というのだ。
「義手だがな」
「クローン技術の手ではなく」
「わしはわしの失態でこの腕を失った」
「だからですか」
「その戒めとしてだ」
「あえて」
「この腕にしているのだ」
 手袋を取った、そこには機械の腕があった。銀色に輝くそれはメタリックであり異形の迫力さえ見せていた。 
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