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星河の覇皇

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第七十一部第二章 ゾロアスター級超巨大戦艦その四

「まさに」
「はい、粛清は」
「それは日本でも同じか」
「むしろ源氏はです」
「それが多いか」
「功臣でなくとも身内同士で、でした」
 源氏の常であった、このことは。
「殺し合っていました」
「そうしたことの繰り返しだったな」
「そして嫡流の血が完全に絶えた程です」
 源為義の血筋は途絶えた、最後の実朝の暗殺によって。
「とかくです」
「身内で殺し合っていた家だな」
「義経は確かに功臣でしたが」
「それと共にか」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうした理由で、です」
「粛清されたか」
「功績も大きく身内ですと」
「源氏ではだな」
「まず確実に棟梁に粛清されていましたので」
「そうなったか」
「残念ですが」
「私は平家物語を読んだが」
 この時代では銀河語にも各国語にも翻訳されている、現代語読みのものも多くそれで広く読まれているのだ。
「どうも頼朝はな」
「お好きではないですか」
「陰険な陰謀家に見える」
 それも無慈悲な、だ。
「だからな」
「よく言われることですね」
「多くの者が思うことだな」
「確かに優れた政治家ですが」
 鎌倉幕府を開き政治体制を整えた、そして慎重な法治で国を治めてきた。確かに政治家としては見事な人物だ。
 だがそれでもとだ、八条は言うのだった。
「どうも生前からです」
「好かれてはいなかったか」
「長い間墓もありませんでした」
「それはかなりだな」
「好かれる人物ではなかった様です」
「歴史的にもだな」
「我が国におきましても」
 幕府を開いた偉大な政治家である筈がだ。
「甚だ不人気で」
「やはりそうか」
「判官、義経公のことです」 
 その源義経である。
「判官贔屓という言葉があり」
「つまり義経に人気がありか」
「はい」
 それ故にというのだ。
「どうしてもです」
「頼朝は不人気か」
「はい、そうです」
「そうか、しかしだ」
「艦名に使われた他の人物は、ですね」
「建国の英雄だ」
 軍事的英雄であり、というのだ。
「ワシントンも趙匡胤もな」
「ホー=チ=ミンもチトーも」
「誰もがだ」
「他にもそうした人物を多く選びましたが」
「源義経は違うか」
「悲劇の英雄になります」
 まさにというのだ。
「どうしても」
「そうだな」
「はい、建国の英雄以外の軍事的英雄も選んでいます」
「クトゥーゾフもだな」
 ナポレオンがロシアに攻めて来た時のロシアの名将だ、ロシアではこの時の戦争を今でも大祖国戦争と呼んでいる。 
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