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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第139話:Present

任務を終えて戻ってきたアクセルは困ったように紙袋を見つめていた。

「うーん…本当にどうしようこれ」

「どうしたんだアクセル?ジッと紙袋を見つめて?」

不思議そうに見つめてくる包みを持ったエックスにアクセルは紙袋から中身を取り出してそれを見せる。

「それは………ぬいぐるみか?」

アクセルが取り出したのはフワフワとした可愛らしい猫のぬいぐるみである。

随分と良い素材で作られているのか、とても手触りが良さそうで柔らかそうだ。

「うん、そうなんだよ…任務で人間の女の子を助けてお礼に貰ったんだよ。結構小さい子供でさ、“宝物を1つあげる”ってさ」

「良かったじゃないかアクセル。人間の子供とのそういう経験は貴重だからな」

「うん、気持ちは嬉しかったけど…僕は男だよ?ぬいぐるみを貰ってもさ…飾るのもアレだし…エックス、ルインはぬいぐるみ要らない?」

ルインは可愛いものが好きだから貰ってくれるのではないかと思って尋ねてみるが、エックスは首を横に振る。

「駄目だ。今はエイリアから“ルイン甘やかし禁止令”が出されている最中だからな…」

「何それ?」

謎の禁止令にアクセルは首を傾げる。

エックスは苦笑しながら“ルイン甘やかし禁止令”をアクセルに説明する。

「ルインはゲームが好きなんだよ。特に歴代メガマンシリーズやAB・GVみたいな2Dのアクションゲームが特にね。」

「へえ、あのスピードアクションがウリの2Dアクションゲームが好きなんだ。何かルインがゲームやるのって意外だね」

あまりゲームとかやらなそうな感じなのにだ。

人は見かけによらないと言うことか。

「それで行方不明になっていた最中にメガマン・イクスが6まで出ていたから一気買いをしちゃったんだよ。完璧に攻略するために攻略データまで購入する徹底ぶり。今はメガマン・イクス6のノーダメージ攻略に躍起になってる。」

「メガマン・イクス6をノーダメージ攻略!?ちょっとルインは正気なの?あの作品ってステージ構成が超鬼畜でラストステージのボスなんて正に地獄の奴ばかりじゃない!!悪夢・おかんとかギガマックスとか!!特に悪夢・おかんは名前通り悪夢だったよ…」

「ああ、俺も少しプレイさせてもらったけど、即死要素が多すぎて慣れないうちはすぐにゲームオーバーになったよ…それにしてもラストステージの銀色形態のゼイトなんだが、スピードアクションをウリにしてるイクスシリーズで運次第で撃破時間が長くなったり短くなったりするボスを出すかな普通…?」

「ああ、攻撃チャンスがゲームのCPUの気まぐれだからね…本当にイクス6を作った人は何考えてたんだろうね…正直ステージ構成は前作より酷いし、最新作のイクス7はあまり期待出来ない……って、話が滅茶苦茶ズレてるよ。“ルイン甘やかし禁止令”って結局何なのさ?」

話が関係ない方向に向かっていることに気付いたアクセルは話を元に戻すとエックスも咳払いして再び説明を。

エックス「コホン…ああ、すまない。話の流れでつい…とにかくゲームを一気買いして沢山お金を使ってしまったからな。俺としては今まで行方不明で大変だったんだし、自分のお金を使っているんだから、少しくらい贅沢しても構わないんじゃないかなと思うんだけど、やっぱり数日でゲームやグッズに数十万ゼニーを使ってしまったのは問題だったらしくてソニアの教育に悪いと言うことでエイリアがルインの行動を抑えるためにって……」

「す、数十万ゼニー…?す、筋金入りのゲーマーなんだねルインって…て言うかエックスもゲームとかするんだね」

ゲームやグッズに数十万ゼニー注ぎ込んだルインの凄まじさに思わず引くアクセルだが、基本的にゲームをやらなそうなエックスまでやっているのは意外だった。

「まあな…時間を潰す時にルインに貸してもらってるんだ。ルインが選んだゲームは基本的にハズレはないし。因みに期待して買ったゲームは面白い作品で逆に何となく買うのを止めたゲームはつまらない作品だったりすることが多いからゲームを買うならルインと一緒にいった方が良いぞ?」

「ふーん、ゲームの出来を感知する能力でもあるのかな?ところでゼロはゲームとかしないの…?するわけないか…」

流石にゼロがゲームをする姿は想像出来なかったアクセルは首を横に振るが、エックスは否定した。

「いやするぞ?メガマン・0シリーズにドハマり中で多分今頃、ラスボスのカルピスをチェーンウィップ縛りで一方的に叩きのめしてるんじゃないか?」

そしてゼロとアイリスの部屋では噂をすれば何とやらでゲーム中のゼロと緊張して見守るアイリスがいた。

「頑張ってゼロ。これで02ラスボス撃破100回目突入ね!!」

「くたばれ無能司令官」

『ふん!!』

『ギィイイイイャアアアアアアッ!!!!モット力ヲォォォォォォ!!!!』

チェーンウィップだけしか使わないと言う縛りプレイでラスボスを撃破したゼロであった。

「ゲッ!?0シリーズ!?あの高難易度の0シリーズをウィップ縛りで…ラスボスが超弱いことで有名なカルピスとは言え…」

「何気に言っていることが酷いなお前…何かゼロは0シリーズの主人公に感情移入してるのか、初めてカルピスを倒した時の気迫が凄まじかったと言うのがゼロの妻のアイリスの証言だ」

「ふ、ふーん……」

先輩達の意外な面を見たアクセルであった。

ルインが駄目なら誰にこのぬいぐるみを渡そうかと悩むとエックスがある人物の名前を出す。

「ルナに渡したらどうだ?」

「え?ルナに?」

「ぬいぐるみを渡して喜んでくれそうなお前の身近な人はルナかパレットだろう?でもパレットならぬいぐるみはあるだろうし、ルナしかいないだろう?」

アクセルはエックスの言葉に腕を組んだ。

確かにエックスの言う通りなんだが、部屋には機材しか置いていないルナがぬいぐるみを欲しがるのだろうかと疑問に思うが、それでも試しに持っていくかと部屋に向かう。

「ありがとうエックス。ルナに渡してみるよ」

「ああ」

「ところでエックス、その包みは…もしかして今日もお弁当なの?今日はどっち?」

「……ルイン」

赤面しながら今回の昼食の弁当はルイン作だとアクセルに教える。

「熱いな~。でもルインとエイリアってお弁当の中身が正反対って感じだよね。ルインはエックスが好きなものを中心にした物でエイリアは栄養その他のバランス重視の物。」

ルイン曰く好きなものを食べて次の仕事に励んでもらうために。

そしてエイリア曰くバランスの取れた食事を摂ってしっかりと仕事に励んでもらうために。

まあ、どっちも考えてることは同じのようだ。

「正直、毎日ここまで手の込んだ物だと申し訳ない気分になるな」

「仲良しでいいじゃない。じゃあねエックス」

「ああ」

こうしてエックスと別れて自室に入ると、既にルナがバレットの調整をしていた。

「ただいまー」

「お?お帰りアクセル。今日の任務はどうだったよ?」

「楽勝だったよ…それでさ…その…」

「?」

いざ、ぬいぐるみを渡す段階になって妙な気恥ずかしさを感じてしまって手が動かない。

全く動かないアクセルにルナは疑問符を浮かべるとアクセルの手にある紙袋に目を遣る。

「アクセル?そいつは?」

「え?あ、ああ!これ!今日の任務でお礼として貰ったぬいぐるみなんだ!でも僕が持っていても仕方ないし、ルナにあげようかなって………」

紙袋から猫のぬいぐるみを出してルナに突き出すアクセル。

いきなり眼前に突き付けられたルナは目をパチパチさせながらぬいぐるみを見つめた。

「やっぱり…要らない…かな?」

「………い…」

「え?」

ルナの言葉が聞こえなかったアクセルはルナの声に耳を傾ける。

「可愛い…ほ、本当に貰っていいのかこれ?お前が貰ったんだろ?」

ぬいぐるみの可愛さに震えているルナにアクセルは呆然となりながら頷くと、ルナはぬいぐるみを受け取るとぎゅっと抱き締める。

「柔らかーい。もふもふしてるー」

ぬいぐるみに顔を埋めるルナも可愛い物が好きなんだとアクセルは何となく分かった。

「喜んでくれて良かったよ」

「サンキュー、アクセル。俺大事にするからな…ぬいぐるみ欲しかったけど…ぬいぐるみの置いてある店に足を運ぶの何となく恥ずかしくて…」

「あ、そっか」

あまりぬいぐるみとかとは縁がなさそうな生活をしていたんだろうし、やっぱりルナも女の子だからこういうのも欲しかったんだろう。

エックスの言う通り、ルナに渡して良かったと思うアクセルであった。

「ルナが喜んでくれて良かったよ」

満面の笑顔を浮かべて言うアクセルにルナは少し赤面しながら笑みを返した。

一方、ルインはエイリアに懇願していた。

「ねえ、エイリア。イクス7買いたいからそろそろ禁止令解いてよ。」

「駄目よ、後数日は我慢しなさい」

「何でー!?別に借金してるわけでもないんだし、使ってるのは私のお金だからいいじゃない!!?」

「そういう問題じゃないの!欲しい物をまとめ買いするなんてソニアに悪い影響を与えては駄目でしょう!?少しは親らしく我慢を覚えなさい!!」

「今まで頑張った自分へのご褒美なんだから良いじゃない!!」

「だからと言ってゲームやグッズに数十万ゼニー注ぎ込む人がどこにいるのよ!!」

「あの…隊長、止めなくていいんですか?」

「うーん、正直ルインとエイリアの言い分も尤もだからな。正直俺にはどうすることも出来ないよビートブード。まあ、あれが2人の今の在り方なら俺はそれを受け入れるさ…喧嘩が激化すれば流石に止めるけど」

「はあ…」

エックス達は苦笑しながらルインとエイリアの会話をBGMにして休憩するのであった。

「はあ…女の子へのプレゼントってあんなに緊張するんだな…」

一方、屋上で夜空を眺めていたアクセル。

雲1つない快晴だったためか、美しい月が見えた。

「月が綺麗だなー…」

らしくないことを言っているのは分かってはいるが、しかし何となくそう思った。

「…………」

月を…正確には月の光を見ていると何故か高揚感が沸き上がって来る。

何故かは知らないが、力が漲るような感覚を覚えた。

「久しぶりに屋上に行きますかっと」

たまには夜空を眺めるのも悪くない思い、屋上に出たルナが見たのは。

「アクセル?」

アクセルの姿だったが、どこか違う。

いつもの漆黒のアーマーは純白で、ボディの赤いラインと髪の色は紫に変化していた。

そしていつもの翡翠色の瞳は金色へと変わっていた。

「アクセル!!?」

「…何?ルナ?」

次の瞬間にはアクセルは普段の姿になっていた。

「え?あれ…?」

目を擦ってもアクセルは先程見たのとは正反対の見慣れた黒いアーマーのままだ。

「何?どうしたの?」

尋ねて来るアクセルにルナは急いで首を横に振った。

「い、いや…何でもない…」

疲れているのだと自身に言い聞かせて、ルナはアクセルと共に夜空を見上げた。 
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