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レーヴァティン

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第百四話 半島統一その六

「マリオ=フォガーノです」
「ジュゼッペ=フォガーノです」
 ローマの護民官の官邸の謁見の間で久志に一礼してから名乗った、十二人も共にいる。
「南の王国、ナポリの王でした」
「その弟、大公でした」
「そうだな、実はな」
 久志は護民官の座から二人に話した。
「実は戦ってる間二人共中々やるって思ってたんだよ」
「と、いいますと」 
 王が久志の言葉に返した。
「一体」
「ああ、あんたは政がいいな」
 王国の統治を見ての言葉だ。
「税収は程々で農地や街も整えていてな」
「当然のことです」
 王は久志に即座にそれも確かな顔で答えた。
「王として」
「そうした政をすることはか」
「はい、さもないと国が滅び民も苦しみます」
 そうなるからだというのだ。
「ですから」
「当然のことをしたか」
「はい」
 そうだというのだ。
「私は」
「そうなんだな、じゃああんたもか」
 久志は今度は王弟に対して問うた。
「数も装備も訓練もして統制も取ってたか」
「国や民を護る為にあるのが軍です」
 王弟も彼の兄と同じく淀みなく答えた。
「ですから」
「それでか」
「はい、私は政は出来ないですが」
「軍の方を受け持ってか」
「そちらを整えてです」
「俺と戦ったんだな」
「私は主張しました」
 胸を張って毅然としてだ、王弟は久志に答えた。
「国の誇りを護る為に」
「それで俺達と戦ったんだな」
「そうしました、適いませんでしたが」
「最後は私が降ることを決めました」
 王もまた胸を張って久志に言う、二人共卑屈さは全くなかった。誇りがそこにあってそれで言うのだった。
「そのことを」
「そうだよな、それがな」
「それがとは」
「あんた達をここに呼んだのはな」
 彼にとって本題をだ、久志は彼等に話した。
「他でもないんだよ」
「といいますと」
「一体」
「あんた達を登用してな」
 そうしてというのだ。
「俺達の陣営で働いてもらいたいんだけれどな」
「ですが」
 王は久志の言葉にすぐに怪訝な顔になり反論した。
「我々は敵でしたが」
「そうだな、けれどな」
「それでもですか」
「昨日の敵は今日の友っていう言葉こっちの世界にあったか」
「まあ近い様な言葉な」
 久志の今の言葉にだ、王はこう返した。
「あります」
「じゃあわかるな、つまりはな」
「我等は敵でしたが」
「それは過去だよ、これからはな」
「ローマの中にあってですか」
「大臣や将軍としてな」
 その立場でというのだ。
「頑張ってもらいたいんだよ」
「だからですか」
「我々を呼んで」
「勿論王国の優れた奴等もな」
 二人だけでなく、というのだ。 
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