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八条学園騒動記

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第五百十三話 素晴らしきかな文学その九

「いいわよ」
「本当にそうだな」
「というかどんな立派って言われてる哲学者でも」
 ナンシーはさらに話した。
「本当に頭いいのか」
「それもだな」
「わからないしね」
「そういえばカルト教団を絶賛した哲学者もいたな」
「連合でも有名な」
「そんな奴がいたとも聞いた」
 戦後日本最大の思想家と呼ばれる者もそうだった、偉大な思想家が落ちたのではなく行き着く先がその程度でしかなかたっというだけであろう。
「そう思うとな」
「哲学ってね」
「そんなにな」
「高尚でもない?というか哲学でも」
 この学問でもとだ、ナンシーはさらに言った。
「誰でもわかるものでないとね」
「駄目なんだろうな」
「急に造語出したり難しい文章ばかり」
「そんなものでもな」
「高尚でも思想がどうとかでもね」
「読めるから頭がいいのでもないしな」
「難しい文章を書いて」
 そうしてもというのだ。
「その文章を書いた人が理解していないとか」
「それはな」
「あるかも知れないわね」
「もうな、自分もな」
 それこそというのだ。
「わからないけれどな」
「適当に難しい言葉造ってね」
「それで文章もな」
「もう適当にね」
「難しくしてな」
 そうした言葉を使ってというのだ。
「後はそれを羅列してな」
「読んでもわからない様にして」
「わかった奴は賢いと錯覚させる」
「そうした文章ね」
「難しいことを理解出来たらな」
 それでというのだ。
「人間自分は頭がいいと思えるからな」
「他の人達よりもね」
「それが錯覚でもな」
「それでそんな難しい文章を書く人はね」
「凄いとな」
「そうなるってことね」
「案外思想家はな」
 こう呼ばれる者達はとだ、洪童は話した。
「誰でもわかる文章を書けてな」
「普通の言葉を使ったら」
「それでな」
「もう偉大じゃなるとか」
「そうかもな、けれどな」
「ええ、本当に凄い人はね」
 それこそとだ、ナンシーも述べた。
「それこそね」
「そうした文章を書かなくてもな」
「誰でもわかる文章を書いてもね」
「凄いからな」
「凄いことを書いてるのよね」
「シェークスピアがそうだな」
 まさに今自分達が読んでいるこの作家がというのだ。
「本当にな」
「そうよね、とどのつまりは」
「そりゃ事前にある程度の知識や教養がないと読めない本もあるさ」
 日本では小林秀雄がそうであろうか、この思想家の文章は読むにあたって日本の古代史やクラシックの知識が前以て必要とされることが多い。
「けれどそれでも読めないとなるとな」
「もうね」
「読まない方がいいな」
「読んでわからないなら」
「時間の無駄だな」
「それだけのことよね」
「俺は難しい文章は嫌いだ」
 洪童ははっきりと言い切った。 
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