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星河の覇皇

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第七十一部第一章 掃討作戦その六

「病原菌なりにしてもな」
「ワクチンは次から次に出来ていますが」
「それでもだな」
「はい、言われてみればです」
 伝染病もこの時代はかなり克服されている、人類は天然痘もペストも梅毒も結核も克服してきてこの時代でもそれは同じだ。
「エボラもでしたね」
「克服されたな」
「はい、エイズもです」
 この悪質な性病もだ、人類は克服している。
「ですが」
「それで死ぬ者は減ったが」
「完全には、ですね」
「結核のワクチンは開発された」
 二十世紀中頃にだ、それまで多くの人の命を奪ってきたこの病をだ。
「しかしだ」
「今もですね」
「確かに僅かだがな」
 しかしそれでもというのだ。
「結核で死ぬ者もいれば」
「それぞれの星での風土病っで、ですね」
「死ぬ者もいる」
「病も消えていませんね」
「人間はあらゆる病を克服した」
 それこそ水虫やタムシ、薄毛もだ。命に関わらない病でも数多くの病を克服してはきているのである。しかしだ。
「しかしだ」
「病で死ぬ人はいる」
「薬はあってもだ」
「完全には、ですね」
「しにくいものだ」
「それもまた自然ですか」
「医学は進化した」
 もっと言えば進化し続けている。
「しかしだ」
「完全には、ですね」
「病はなくならない」
「人は病で死にますね」
「それが死に至る病ならな」
 そうなるというのだ、実際にこの時代でも多くの者が様々な病で死んでいる。風邪も克服されたといえばそう言えるがそれでもだ。
「死ぬ」
「どうしてもですね」
「自然から抜け出すことはだ」
「世界から抜け出すことであり」
「到底無理だ、所詮人間はだ」
「自然の中にありますか」
「この宇宙のな」
 そうなるというのだ、そうしたことを話してだった。
 そしてだ、その話の中でだった。シコースキーはバルバロッサから犠牲者の話も聞いた。そのうえでまた言った。
「どの方もだな」
「はい、家族に見守られてです」
「葬儀もだな」
「終えました」
「そうか」
「ご遺体は全て発見されましたので」
「それは不幸中の幸いだったな」
 遺体が見付かった、それならというのだ。
「まさにな」
「そうですね、ご遺体が発見され弔われ」
「よかった」
 まさにというのだ。
「本当にな」
「はい、そして復興もです」
 そちらもというのだ。
「もうはじまっています」
「そうか、それもだな」
「軍も尽力してです」
 災害救助に派遣された艦隊がというのだ、軍は戦争を行うだけでなくこうした際の復興も重要な任務なのだ。
「それにかかっています」
「そうか、それはいいことだ」
「それで司令も」
「既に艦の出港用意が出来ている」
「では」
「この仕事が終わればだ」
 その時は時はというのだ。 
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