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レーヴァティン

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第百三話 夜襲破りその二

 久志は敵の砦の動きをより観察させた、それも一つや二つではなく敵の主な砦の全てをそうさせた。そうしていると。
 次の日にだった、朝から斥候に出していた騎兵達が次々に戻ってそのうえで久志達に対して報告してきた。
「砦の兵達が動きました」
「そしてです」
「そのうえでこちらに向かっています」
「全員武装しています」
「騎兵が多いです」
「やっぱりっていうかな」
 ここまで聞いてだ、久志はこう言った。
「夜襲に動いているな」
「夜に攻める為にね」
 清音も行ってきた。
「動いてきているわね」
「そうだな、じゃあ今夜は戦いか」
「そうなるわね、ただね」
「相手にはか」
「ええ、王都の方にはね」
 つまり敵にはというのだ。
「気付かれない様にね」
「何も知らない振りをしておくか」
「こっちが気付いていないっていう風にね」
「奇襲は気付いていない相手に仕掛けるからな」
「だから強いのよ」
 不意打ち、それになるからである。
「勝敗を決するまでにね」
「そうだよな、けれど見破られるとな」
「ダメージは倍になるわよ」
「普通に守られるよりもな」
「そしてその倍返しを行う為に」 
 まさにとだ、清音は久志に笑って話した。
「今はね」
「気付かない振りをしているんだな」
「あくまでね、これも戦争よ」 
 気付いていない、そうした振りをすることもというのだ。
「お芝居をすることも」
「そうか、じゃあもうパイクや銃は用意してるしな」
「いつも通り警戒をしつつ休んでね」
「飯も食ってな」
「普通にしていればいいな」
「普通を演じる、でござるな」 
 進太も言ってきた。
「そうでござるな」
「そうよ、つまりはね」
「では」
「ただ、お酒はね」
 これはというと。
「飲まないことよ、飲んでもね」
「振りでござるな」
「実際に飲むのはお水よ」
 こちらにするというのだ。
「酔って戦闘なんて出来ないわ」
「特に馬に乗るなぞは」
「落馬の元よ」 
 清音もこちらの世界では馬に乗ることもある、それで乗馬の際に体調に異変飲酒も含めてそれがあると如何に危険かわかっているのだ。
 それでだ、進太にもこう言うのだ。
「だからね」
「お酒はでござるな」
「お水を飲むのよ」
 飲む振りをして、というのだ。
「いいわね」
「全将兵にでござるな」
「内密にだけれど厳格にね」
「そこは守らせるでござるな」
「全将兵に、そうして」
「今夜は」
「戦うのよ」
 まさにというのだ。
「いいわね」
「それでは」
「さて、じゃあな」
 ここでまた久志が言った。 
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