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八条学園騒動記

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第五百十二話 カレー料理その二

「それなりにやっていけるだろ」
「成程ね」
「ただ、相当まずいと言ったけれどな」
「カレーを相当まずく作れるって」
「ルーが溶けていないとかな」
「それは論外ね」
 カレールーの素である肝心のルーが溶けていなくてそのままになっている。この時代でも存在していることだ。
「本当に」
「そうでもないとな」
「そこそこ繁盛するのね」
「形の悪かった野菜を使っていてもな」
「というかそもそも形が悪くてもね」
「味も栄養も変わらないな」
「というか売ってるけれど」
 形の悪い野菜もというのだ。
「普通の野菜の半分位ね」
「それ位の値段で売っているな」
「そういうのでもいいのね」
「俺もそうした野菜よく買うぞ」
 かく言う洪童自身もとだ、彼はカレーを食べつつナンシーに話した。
「実際な」
「安いからなのね」
「安くて味も栄養も変わらない」
「だからなのね」
「そうした野菜を買う時も多い」
 こうナンシーに話した。
「それでカレーを作ることもある」
「あんたも考えてるわね」
「それで形が悪い野菜でもいいしな」
 カレーライスはというのだ。
「しかも肉もな」
「安いのでいいから」
「素材にかける値段も悪くなくてな」 
 洪童はナンシーにさらに話した。
「しかも煮れば煮る程味が出る」
「スープと同じ理屈だからね」
「野菜も肉も柔らかくなってな」
「食べやすくもなるし」
「ルーの味が強い」
 カレーの最大の特徴である。
「何十種類のスパイスが複合されている」
「その味が強いから」
「これで失敗する店はな」
「味もそうだけれど採算もね」
「そうはないだろうな」
「そういえばマハラジャタウンのカリー屋さん何処も繁盛してるわね」
 ナンシーはカレーラーメンをすすりつつ述べた、縮れたその麺にルーの味のスープが程よく絡まって実に美味い。
「しかも潰れないわね」
「それもな」
「相当酷くないと失敗しないからなのね」
「カレーがな」
「そうなのね」
「マウリアはカリーだがな」
 元々はこちらが本家である。
「やっぱりな」
「だからね」
「カレーは商売にもいい」
「そして商売にいいだけあって」
「たっぷり食うことも出来る」
「そういうことね」
「まさにな、ただな」
「ただ?」
「このカレー甘口を選んだがな」
 実は洪童が食べているカレーはそちらだ、ナンシ―は中辛だ。
「いい甘さだな」
「どんな甘さなの?」
「林檎と蜂蜜、あとパイナップルだ」
「そういうので甘くしてるの」
「お砂糖は使っていない」
「お砂糖の甘さも独特だからね」
「それで牛乳も使ってな」
 これとカレールーに入れてというのだ。 
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