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星河の覇皇

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第八十部第五章 無政府主義者その十五

「そういうものだ」
「どの国の国家元首も」
「さもないとだ」
 まさにというのだ。
「最初から国家元首になる資格はない」
「己の責務を果たさねば」
「その座にある資格はない」
 それも一切というのだ。
「操縦出来ないパイロットはいてはならない」
「操縦席には」
「そうしたものだからだ」
「そうですね、しかし」
「しかし?」
「操縦出来るならです」
 それならばというのだ。
「パイロットになる資格がありますね」
「それはその通りだな」
「そうですね、そして操縦する自身がありその席に就いたなら」
「操縦すべきだな」
「その人の願い通りに」
「では私はか」
「操縦席におられますので」
 それ故にというのだ。
「操縦されて下さい」
「私の思う通りにか」
「はい、ですが」
「その操縦は動かす機体に相応しいものであり」
「それから外れればです」
「機体を壊してしまうな」
「パイロットは機体を最高の状態で最高の操縦をして最高の場所に導くものですね」
 こうクリシュナータに問うた。
「そうですね」
「まさにその通りだ」
「では」
「それならか」
「はい、若しそれから外れる様なら」
「その時はか」
「私達も言わせて頂きますので」
「そうしてもらいたい、若しそれが実際に出たならだ」
 操縦、つまり国家運営にである。
「私はそれで終わりだ」
「国家主席としてですね」
「乗客に選ばれたパイロットだからな」
「乗客に見放されますね」
「そうなる」
 民主政治の特徴だ、マウリアもまた民主国家なので若し支持を失えばそれで主席の座を選挙の時に失うことになるのだ。
「確実にな」
「その通りですね」
「だからだ」 
 クリシュナータは秘書官に言った。
「その時は宜しく頼む」
「是非共」
 秘書官も答えた。
「そうさせてもらいます」
「ではな、それでは」
「今日はこれで」
「休ませてもらう」
 官邸の中のプライベートな場所に入りだ、尚マウリアの大統領官邸はムガール朝の建築様式の宮殿になっている。その中にプライベートな場所もあるのだ。
「これでな」
「はい、また明日」
「妻が待っている、むしろだ」
「今日は、ですね」
「仕事が早く終わった方か」
「九時ですし」
「深夜が普通だからな」
 大統領の一日の仕事が終わるのはだ。
「朝早くからはじまってな」
「ほぼ休みなしで」
「そうなるのが普通だからな」
「それで、ですね」
「今日は早い」
「むしろ」
「急な事態もなかった」
 国政でつきもののそれもだ。 
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