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星河の覇皇

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第八十部第五章 無政府主義者その九

「今度はプレスター=ジョンの国は最初からないとわかっているがな」
「香辛料や黄金に匹敵するものはある」
「資源が、ですね」
「そして新天地を手に入れてもらう」
「そうしてもらうのですね」
「そうだ、新天地は植民地だな」
 それになるというのだ。
「本土から離れているな」
「その植民地が独立しなければいいですが」
「それはこれから考えることであり」
「しかもエウロパが主に考えること」
「我々は今は援助だけですね」
「そうなる、とにかくエウロパには発展してもらう」
 今の彼等はというのだ。
「存分にな」
「そしてそのうえで連合に対してもらい」
「我々jはバランサーとして利益を得る」
「そうするのですね」
「供与の仕方は連合が五月蝿いがな」
 彼等にとって敵国であるエウロパを発展させる技術を手に入れることはだ、このことを認める筈がないというのだ。
「だが表立って渡すだけではないな」
「あえて盗ませる」
「そうしたやり方でいきますか」
「この度も」
「技術は盗むものだという」
 この時代でも俗に言われている言葉だ、あらゆる意味で。
「それならだ」
「エウロパに盗んでもらいますか」
「あえて」
「そうしてもらおう」
 含ませた笑みでだ、クリシュナータはこう言った。
「ただ、情報はだ」
「それも、ですね」
「漏れるかも知れないですね」
「何故か、ですね」
「誰かから」
「エウロパ側にな、そしてある場所にだ」
 その情報が伝えられた場所にだ。
「あってもだ」
「我々に落ち度はない」
「誰が過ちを犯したかもですね」
「それはわからない」
「捜査をしても」
「我々にとっても甚だ不本意ながらな」
 そうしうことになるというのだ。
「そうなる、ではな」
「その様にですね」
「していきますか」
「エウロパに技術を渡すことは」
「その様に」
「全ては闇の中だ」
 そういうことになるというのだ。
「問題はその闇を連合に見られるか」
「そのことですね」
「連合に対してどうするか」
「それが問題ですね」
「連合は同盟国だが」
 それでもというのだ。
「完全な同盟国は存在しない」
「ですね、どの国も他国です」
「他国ならば極端な肩入れはしない」
「バランスを重視して付き合う」
「そして今の連合は」
「力が大きくなり過ぎている」
 だからこそというのだ。
「ここはエウロパに寄ろう」
「そうしてですね」
「バランスを取り我々はその間で利益を得る」
「それに徹しますか」
「このままな、しかし」
 クリシュナータはここでこうしたことも言った。
「連合はこのところ特に勢力の伸張が大きいな」
「はい、確かに」
「それは予想以上ですね」
「人口増加率もさらに高まりましたし」
「国力もです」
「全てがだ」
 まさにというのだ。 
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