星河の覇皇

「さらに内向きになる」
「新領土への開発、開拓にかかり」
「そこから国力を発展させる為ですね」
「連合はこれまで以上に内向きになる」
「そうなのですね」
「いいことだ、では我々はだ」
　ここまで話してだ、クリシュナータは一つの方針を示した。それはマウリアの国家としての方針であった。
「我々の道を歩くとしよう」
「連合が見ていない間に」
「そうしますか」
「エウロパの要請を受ける」
　口元で笑っての言葉だった。
「惑星開発、開拓の技術を供与しよう」
「極めて安価で」
「そうしますか」
「そうする、しかもだ」
　クリシュナータはさらに言った。
「我々の最新技術を与えたい」
「我々が持っている、ですか」
「惑星の開発、開拓技術のですか」
「最新のものよ供与しますか」
「そうされますか」
「ローテクにはしない」
　そうした技術はというのだ。
「最新のものをだ」
「そうされるとは」
「我々も思いませんでした」
「まさかです」
「最新技術を供与されるとは」
「エウロパに対して」
「それ位しなければだ」
　まさにというのだ。
「エウロパは復興しようとしているがな」
「連合と張り合えない」
「そこまでの国家にはならない」
「そうだというのですね」
「連合の発展は止まらない」
　さらに広大な新天地を手に入れたこの国はというのだ。
「資源も領土もあそこまであり人口も増加速度がさらに上がった」
「経済成長率もですし」
「技術革新も目覚しいですね」
「だからだ」
　そうした連合が存在しているからだというのだ。
「その巨大化する一方の連合と張り合ってもらう為にな」
「エウロパに最新の技術を渡し」
「その技術で発展してもらう」
「そうなってもらいますか」
「そうだ、勿論艦艇についても同じだ」
　宇宙を進むこれもというのだ。
「エウロパの軍事技術は然程遅れていないがな」
「それでも連合と比べると違いますし」
「暗黒宙域を踏破すると聞いていますがそこを越えるにも不安がある」
「だからですね」
「そうした技術もだ」
　宇宙船のそれもというのだ。
「最新のものを渡そう」
「我々のそれを」
「そうされますか」
「連合の一人勝ちにはさせない」
　バランサーとしてだ、こう考えているというのだ。
「だからだ」
「エウロパに技術を渡し」
「発展してもらう」
「そうするのですね」
「あの総統は出来る」
　ギルフォード、彼はというのだ。
「ならば余計にだ」
「彼が率いるエウロパを助け」
「そして発展してもらう」
「そして発展してもらう」
「国内の開発、開拓も進めてもらい」
「新天地も手に入れてもらえますか」
「もう一度大航海時代を経験してもらう」
　エウロパにだ、かつての欧州各国の様に。