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八条学園騒動記

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第五百十話 マルタ騎士団その七

「出来たからな」
「よかったじゃない」
「俺もあいつもな」
「だからなのね」
「それにもてる努力よりもな」
 それよりもとだ、洪童はこうも言った。
「人間としてどうか」
「人間として高みを目指す?」
「そして実際に立派な人間になる方がな」
 そちらのことに努力を向ける方がというのだ。
「いい努力だし結果としてな」
「立派な人ってもてるからね」
「必然的にそうなるからな」
 このことに気付いたからだというのだ。
「それでなんだよ」
「二人共変わったのね」
「ああ、そっちの方に努力しているんだよ」
「立派な人間になる為の努力ね」
「高みを目指すな」
「お坊さんみたいな努力ね」
「お坊さん、どの宗教だ」
 連合は実に多くの宗教が存在している、宗教的にもモザイクな国家だ。この辺りも連合的だと言われる時が多い。
「一体」
「仏教よ」
「あの宗教のお坊さんか」
「それも禅宗ね」
 ナンシーは宗派の話もした。
「そっちの人みたいな努力ね」
「禅宗はかなり修行するな」
「そんな感じに思えたけれど」
「そうかもな、実際にな」
「修行みたいなこともしてるの」
「そこまではいかなくてもな」
 修行まではいかないがというのだ。
「立派な人になる様な、な」
「努力はしているのね」
「ああ、その仏教の本も読んだりな」
「そうもしてなの」
「自分を磨く様な努力はしているつもりだ」
「あんた本気ね」
「そうしたらもてたいという気持ちよりもな」
 それよりもというのだ。
「自分はどうか」
「そう考える様になって」
「そっちに努力をする様になった」
「成程ね」
「それで彼女も出来たが」
「その娘ともなのね」
「昔みたいにガツガツしたものはなくなったな」
 そうした気持ちはなくなったというのだ。
「本当にな」
「あんたも随分変わったのね」
「実際にな」 
 まさにとだ、洪童はナンシーに話した。
「そうなったかもな」
「そうなのね」
「もてたいと思うのもいいが」
「それよりもなのね」
「大きくもてばな」
 努力の目標、それをというのだ。
「それが必ずだ」
「もてることにもなるのね」
「その後で来る」
「そう言うと小さなものね」
「そうだな、もてたいと思うだけだとな」
「実際になのね」
「小さいだろうな」
 それを目的とすることはというのだ。
「今はそう思う」
「あんたも変わったわね」
「もてようと必死になっててな」
「その中で気付いたの」
「ああ、本当にもてる人はな」
 そうした人物はというと。 
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