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星河の覇皇

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第七十部第四章 賊達への攻撃その十一

「それで、です」
「離婚しそうになったか」
「ですが話を重ねているうちに」
「それが変わったのだな」
「そうなりました」
「それは何よりだな」
「今では普通です」
 そうした関係に戻ったというのだ。
「二十年経った今では」
「いいことだ、やはり離婚はしないに限る」
「時と場合によりますが」
「暴力やギャンブル、麻薬はな」
 上記が理由だと離婚しやすい、連合では。それも非常にだ。
「論外だがな」
「それ以外の理由ではですね」
「一度結婚したら別れない方がいい」
「お互いの性格や行動に問題がない限りは」
「私はそう思うがな」
「そうしたものですね、やはり」
 副長はここでこうも言った。
「離婚しなくてよかったです」
「今の君の考えだな」
「迂闊にそれをすると後悔します」
「誤った選択をしたと」
「そうなりますから」
 その時はどう思っていてもだ、後でそれが後悔になるということは離婚についてだけのことではないのが人の世だ。
「ですから」
「よく考えてな」
「結婚して、ですね」
「結婚生活を続けるべきだな」
「その通りですね、この艦にも既婚者は多いですが」
「特に男性にな」
 女性でもいる、ただ子供がいる場合は女性は艦隊勤務から志願があれば外されることも多かったりする。
「多いな」
「そうですね」
「若い女性もいる」 
 この重巡の中にはだ。
「既婚男性との誤ちはあって欲しくない」
「そうした話も付きものですからね」
「社会ではな」
 軍隊だけではない、本当にこうした話はこの時代でも何処でもある。
「あるからな」
「軍隊も然りで」
「この艦でもな」
「未婚同士ならいいですが」
「それはな」
「はい、あまり無茶なものでもない限り」
「三角関係等にならないとな」
 艦長はこうも言った。
「歓迎出来るが」
「この前うちの艦隊の駆逐艦で修羅場の話がありましたし」
「あったな」 
 艦長はここで顔を曇らせた。
「若い兵長を女性の下士官二人が取り合ったな」
「はい、二人共未婚でしたが」
「それで取っ組み合いの喧嘩になったな」
「幸い刃傷沙汰にはなりませんでしたが」
「それだけは幸いだった」
「ですが」
 血生臭い話には至らなかった、しかしというのだ。
「大喧嘩だったそうで」
「駆逐艦の中は大変だったらしいな」
「ものが飛び交って」
 女同士の喧嘩でだ、俗に喧嘩は女同士のそれは男同士のものよりも激しく恐ろしいというがその通りになったのだろうか。
「食堂での言い合いから食堂でとなり」
「椅子に机、食器が飛び交い」
「大変だったそうですね」
「そしてその下士官は二人共大怪我だな」
「はい」
 そうなったというのだ。
「そして二人共処罰され退艦となりました」
「下士官二人がか」
「一人は三等伍長、もう一人は四等軍曹でした」
 連合軍の下士官の階級である。 
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