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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第102話:Power Plant

ハンターベースにエックスとルインが帰還し、メンテナンスを受けている最中にエイリアからダイナモがハンターベースに攻めてきたことが知らされた。

「そんなことがあったのか…すまない。俺達のうちどちらかがハンターベースに残っていれば…」

「ルナに感謝しないとね…そのルナはどこにいるの?」

「あいつは、エニグマの調整をある程度終わったから“ダチに会いに行く”って言って自分のライドチェイサーでどっか行っちまったよ」

「そうか…」

「まあ、この状況下で彼女が向かう場所は限られてくるけどね」

「どういうこと?」

「そうだねえ、敢えて言うなら何かの天才同士は惹かれ合う…かな?」

「「???」」

「(ゲイトってルナと言い、私が知らない人とも関わりがあるのよね……あのゲイトが天才と呼ぶ…誰かしら?)」

ゲイトの言葉にエックスとルインは首を傾げながら疑問符を浮かべ、エイリアはゲイトの友好関係がさっぱり分からず、表情を顰めたのであった。

一方でゼロは現在進行形でエネルギー研究所のボルト・クラーケンの元に向かっていた。

研究所は電子回路が剥き出しとなった危険地帯で床には鉄製の回路が時折突き出ていて、触れれば確実に感電死するだろう。

ゼロはアディオンを駆りながら、回路の道を疾走していた。

「くそ…一体どこの馬鹿だ…こんな面倒な真似させやがって……」

苛立ちながら、更にアディオンを疾走させる。

しばらくすると回路が剥き出しになっていない場所を発見し、そこにアディオンを停めた。

しばらく前進すると、ゼロは見慣れたカプセルを発見し、ゼロが歩み寄るとカプセルが起動し、ライト博士のホログラムが現れた。

『ゼロ…君だったか…』

「Dr.ライト…また、あなたか…」

自然に、ゼロは口調を丁寧語へと直していた。

普段は上官相手でも余程の相手でない限り、絶対に敬語など使わないゼロが、このライト博士が相手だとこうなってしまう。

別に畏敬の念を抱いている訳ではないが、彼と話す際にはこれが一番好ましいとゼロは考慮してしまうのだ。

『そんな、突き放すような言い方はしないでくれ…とは言っても、今回君をパワーアップさせる用意してはいないが…』

「それでは、何のためにここに?」

『尤もな質問じゃな…用件は、これじゃ』

そう言って、ライト博士はヘッドパーツの映像を出し、ゼロに見せた。

それはゼロにも何度か見覚えのある物である。

「エックスのパワーアップパーツ…?」

『このカプセルではファルコンアーマーのヘッドパーツのプログラムを君に預ける。このヘッドパーツはエイリアが復元したフォースアーマーのヘッドパーツを参考にし、敵から入手した特殊武器を使用する際に生じるエネルギー消費を通常、チャージ共に大幅に抑える事が出来る。この力で特殊武器の使用制限の上限が飛躍的に増す事になる。』

「(成る程な…)」

レプリフォース大戦で得たオリジナルのフォースアーマーは通常の特殊武器の使用こそ無制限というメリットがあったが、チャージ攻撃を繰り出すと直ぐにエネルギー切れを起こすデメリットがあった。

通常、チャージの特殊武器のエネルギー消費の軽減するこのヘッドパーツは以前のヘッドパーツより使い勝手がいいかもしれない。

『エイリアにプログラムを解析してもらって開発して欲しい。現状では君のパワーアップが難しい。シグマウィルスが現実世界は愚かサイバースペースにも蔓延していることで私も思うように行動が出来ん。だから君のパワーアップ中にシグマウィルスが体内に侵入してしまう可能性もある。力になれず申し訳ない』

「…分かりました。別にパワーアップは無くても構わない…エックスのファルコンアーマーのパーツファイルを受け取りましょう。それと……」

『?』

ゼロが何かを言いたそうに口をつぐむと、ライト博士は怪訝そうに表情を歪める。

「俺から1つ…質問させてもらってもよろしいでしょうか…?」

『別に構わないが…どうかしたのかね?』

「…思い返せば、あのカウンターハンター事件の直後からでした。あの夢を見るようになったのは…」

『夢…?こう言うのは失礼かもしれないが、レプリロイドがそんなものを見るのかね?』

「分からない…だが、あの日以来、スリープモードに入ると、毎回見るんです。全く覚えのないデータが呼び起こされ、その中に老人の博士らしき者が現れる。この博士は…あなたが知っている人ですか…?」

『…老人?』

更にライト博士は眉間の皴を増えたのが分かる。

その老人に思い当たる節があったのだろうか。

「彼は俺に、何かその…過剰なまでの期待をもって接してくるんです。後は、断片的にしか覚えてないんですが…“最高傑作”…“生きがい”…“あいつを破壊しろ”…などと言ったような…」

まだまだ続くようだったが、その後の話を、ライト博士はまともに聞いてはいなかった。

何故ならライト博士は、彼自身が恐れていたものが今、現実になろうとしている瀬戸際でないかと推測しているからだった。

『(まさか…ワイリーか!?)』

確信した訳ではなかった。

だが、恐らく間違いないだろう。

かつては親友であり、あるシステムの凍結をきっかけに袂を解った旧世紀のマッドサイエンティストが、かつては互いに認め合った友が、今もなお過去を引き摺り、着かないはずの決着に終止符を打とうとしているのだ。

彼はそのためなら、例え世界が滅んでも構わず、ただ自ら創造した“兵器”である息子を対決させてエックスに勝てればいいのだ。

『(ワイリーよ。お前はとうとう自分が心から愛したロボットにまで…自分の息子にこのようなことを託すなど…)』

かつての友の所業に嘆くライト博士だが、そのことを目の前で悩んでいるゼロに話す気はなかった。

真実は、やはり彼の手で見つけさせるべきだろう。

「…どうかしましたか?」

話し合えてようやくライト博士の動揺に気付いたゼロが声をあげる。

なるべく平常を装いながら、ライト博士は応対した。

『いや、何でもない。とにかく残念ながら、私はその老人やらについては一切情報を持ち合わせていない。すまないな…恐らく、それは何かのエラーデータのはず……忘れた方がいい…。』

「そう…ですか…」

ゼロは酷く傷ついた顔をした。

自分の存在意義、自分の存在そのものが崩れてしまうのではないかという不安が胸中を巣食う。

「あなたに会った途端、何故か聞かずにはいられなかった…。あなたは俺のことを知っているような気がして……」

『すまない、何も役に立てなくて…』

「いえ…望んでいないので気にしないで欲しい。パーツファイルをエイリアに渡しておく。」

ゼロはパーツファイルを受け取ると、踵を返した。

そしてゼロの姿が見えなくなるとライト博士は重々しげに口を開いた。

『…このままではエックスと彼の戦いが現実の物となるかもしれない……しかしわしではどうすることも出来ない…女神殿なら…どうにか出来るかもしれん』

悔しいが、ゼロの体は自分にとってもブラックボックスの塊だ。

潜在能力を引き出すことは出来ても完全に身体の仕組みが分からない。

流石はワイリーが晩年に遺した最高傑作と言うべきか、元々ロックが稼働していた時は資金不足や詰めの甘さが原因でロックに敗北を繰り返していたが、その気になれば完成度の高いロボットを造り出すことも可能だったのが、ゼロを見れば良く分かる。

何とか息子と彼の戦いの運命を避けるためにライト博士のカプセルが消え、そしてライト博士の魂は女神の元へ向かった。

そして取り残された研究員を救助しながら、ゼロはガードシステムをバスターショットで狙い撃つ。

やはりこういう時に射撃武器があるのは助かる。

しばらくガードシステムにショットを当てていると、ガードシステムと連動していた扉が開かれ、奥へと向かえるようになった。

アディオンで強行突入してから、このような地獄絵図が絶え間なく続いていた。

もはやガードシステムは侵入者から内部の者を守るシステムではなく、目に付いた者を破壊するだけのシステムと化していた。

「(何処にいるクラーケン。まさかイレギュラー化したんじゃないだろうな…)」

ゼロからすればクラーケンは苦手な相手ではあるが、それでもかつての仲間なので、イレギュラー化していないならそれに越したことはない。

そうして中央制御室の前に辿り着いたゼロは扉をセイバーで破壊しながら内部に突入し、男はこちらが突入してきたことに驚きの様子を隠せないようだった。

「…何故あなたがここにいるのよ?」

女のような言葉遣いで話す男…ボルト・クラーケンは怪訝そうな顔をしてこちらに問い掛ける。

「…どうやら、無事だったようだな……」

自分の心配は取り越し苦労だったと、ゼロは溜め息を吐き、そしてクラーケンにこのエネルギー研究所に来た経緯を説明する。

「今、スペースコロニー・ユーラシアが地球に向かっている。このままでは地上に激突し、人間もレプリロイドも死滅する。それを阻止するために100年前に建造されたギガ粒子砲・エニグマを稼動させるためのパーツを集めている。その内の1つが、このエネルギー研究所が所有している大容量のエネルギーカートリッジだ」

「成る程ね…エネルギーカートリッジを使って、エニグマの出力を上げる気なのね」

「分かっているなら話は早い。今すぐエネルギーカートリッジを渡してくれ」

「あなた達はいつも強引ね…ハンター辞めてよかったわ。…ガサツになりたくないし。」

「…頼む、その口調は苦手なんだ…」

「あーら、ごめんなさい。でもエニグマのような骨董品でスペースコロニーの…特に最も巨大なユーラシアを破壊出来る可能性なんて限りなく低いわ。あなたなら分からない訳でもないでしょう?」

「可能性が低いことは百も承知だ。だが、何もしないで滅びるなど俺はごめんだ。黙ってエネルギーカートリッジを渡してほしい。状況は分かるだろう?」

「そんなもん、いくらでもくれてやるわ…あなたもおめでたいわね。そんなの手に入れたところで…もう、おしまいよ!…レプリロイドは誰もがウィルスに侵されて…イ、ィ、イレギュ、ギュギュ…」

話している最中に起こった突然のクラーケンの豹変をゼロは悔しげに見遣る。

「…ウィルスに侵されていたか…この進行具合…連行も出来そうにないな。今、楽にしてやる。…さらばクラーケン」

エネルギーチャージを終えたバスターを構えて、クラーケンにチャージショットを放つ。

しかしそれは目標に接触する前に消し飛んだ。

クラーケンは全く動いてはいないが、体中から電撃の膜を纏っている。

「なるほど、電磁フィールドか…」

これではバスターが効かない。

セイバーで攻撃しようにも電磁フィールドの電磁波でダメージを受けてしまう。

「なら…これしかないな…チェーンロッドとシールドで攻めるしかない」

もう1つのセイバーから鎖状の槍が発現する。

中~遠距離の攻撃に特化した武器であるチェーンロッドと攻防兼用の武器であるシールドブーメラン。

「フンッ!!」

勢いよくロッドを振るうと、チェーンが凄まじい勢いで伸びていき、クラーケンの触手を1本斬り裂いた。

「!?」

それなりの硬度を持つはずの自身の触手をあっさり両断されたことにクラーケンは驚愕する。

「(奴の攻撃の要はあの触手だ。ならば奴の触手さえ無力化してしまえば…)」

「ヨクモ!喰ラエ、ゼロ!!グランドスパーク!!」

クラーケンが床に下りて、床に電撃を当てようとしているのを見て、チェーンを天井に突き刺し、咄嗟に上に移動する。

床は電気を通しやすい金属であることに気付いていなければまともに電撃を受けていた。

「逃ガサンゾ!!トライサンダー!!」

「チッ!!」

クラーケンの電撃は強力なのは知っているゼロは真正面から受けるようなことはせず、シールドの円盤部分を高速回転させ、電撃の流れを逸らして防御する。

クラーケンのトライサンダーはマンドリラーのエレクトリックスパークには速度こそ劣るが、一撃の破壊力はそれを上回り、並みの戦闘型では下手したら一撃で行動不能にしてしまうほどの威力がある。

「だが、チェーンロッドとシールドを上手く使えば電撃を喰らうことは決してない!!」

ロッドを振るって、凄まじい勢いで伸びるチェーン状の刃がクラーケンの触手を全て斬り落とし、完全に無力化した。

「ナッ!!?」

「これで電磁フィールドは使えまい!!終わりだクラーケン!!」

バスターを構えると通常のチャージよりも長めのチャージをしていく。

「(よし、思った通りだ。昔使っていたバスターと同じ感覚で扱えるならと思ってやってみたが…)受けろ、ダブルチャージショット!!」

バスターからチャージショットを2発同時に放ち、クラーケンに直撃させる。

「ヌウウッ!コレシキノコトデ!!」

クラーケンはしばらくダブルチャージショットに耐えていたが、耐え切れずに吹き飛ばされた。

「許せ、クラーケン…お前の友であるオクトパルドの元へ逝け!!」

「クッ…ゼロ…!!」

「はあっ!!」

ゼロはチャージと回転数が充分となったシールドをクラーケンに向けて投擲する。

投擲されたシールドはクラーケンに直撃し、クラーケンの体を両断し、真っ二つとなったクラーケンは爆散し、物言わぬただの残骸と化す。

「…こちら、ゼロ。エネルギーカートリッジの入手に成功した。ただちに帰還する。」

エネルギーカートリッジを入手したゼロはアディオンを停めた場所に戻る。

そして一方、ライト博士は不思議な空間にて女神と対面していた。

ここは女神が世界を見守るために作った空間で、ここにライト博士が来れるのは、彼に女神がルインのサポートを頼んだことと、彼が人間という存在を超越した存在だからである。

ライト博士はエックスとゼロの戦いを避けるために女神に頼って来たのだ。

そして女神はと言うと…。

「成る程ね…確かにゼロ君は君の友達だったアルバート・W・ワイリーの造ったレプリロイド…いや、ロボットと言った方が正しいかな…?」

「女神殿…どうにか、あの子達が戦わずに済む方法は無いのでしょうか?」

「うーん…難しいところだろうねえ……元々、今のゼロ君の人格はシグマウィルスの原型とも言えるロボット破壊プログラムにゼロ君本人が感染して生まれた擬似人格。擬似人格と本来の人格…どっちが優位なのか…頭のいい君なら分かるんじゃない?」

「し、しかし…エックスにとって彼はゼロは唯一無二の親友なのです…。わしは…これからも彼等には良き関係を築いて貰いたい…」

親である自分達には出来なかったことをせめて子である彼等には…。

「まあ、ルインちゃんの先輩だし、あの子のお得意様だから助けない訳にはいかないよね」

「あの子…とは?」

「ルインちゃんと同じ。転生者だよ。あの子も本来なら死ぬはずの命じゃなかった。生まれつき体がとても弱くてね、生きるために心臓にペースメーカーを埋められて、何度も大きな手術をしないといけないような身体だったけど…」

空間に映像を映すとハーネットカスタムを駆り、ある場所に向かっているルナの姿があった。

「どうなされた?女神殿?」

「運が悪かったんだろうねえ…手術の最中に起こった主治医のミス…それだけであの子は死んでしまった。たった11歳の女の子がだよ?外を動き回ることも出来ず、友達もいない。話し相手は家族くらい。あの子だってもっともっと生きたかったはずなんだ。友達と遊んで、勉強したりして…」

ルナを見つめる女神の表情は悲しげであった。

「神の私が思い入れをしてはいけないんだって分かってるんだけどね…」

「女神殿…」

「まあ、とにかく…ゼロ君に関してはロボット破壊プログラムとワイリーがゼロ君に仕込んだデータを封印しちゃえばOKだよ。最終的にはワイリーを何とかしないといけないけど…話し合いで済めば良いけど、それが出来ないなら…」

「そうですか…」

その言葉は最悪、ワイリーの存在をこの世から消すということになるのだろう。

ライト博士は女神に一礼するとかつての友を思い浮かべるのだった。

「ところでライト博士、話は変わるけど実はルナちゃんをレプリロイドとして転生はさせたのはいいんだけど、あの子の中身は11歳だから、私が一時期、ジャンク屋のおじいさんとしてあの子を育てたんだけど…」

「それで…?」

「お馬鹿にも私がジャンク屋稼業なんかしちゃったから、荒くれ者とばっか会って、イレギュラーハンターの男性型レプリロイド顔負けの戦闘力を身につけて、性格はそこらの男なんか目じゃないレベルの男勝りになっちゃって。最終的には私の理想とは正反対の俺っ娘街道まっしぐらだよっ!!!!」

「め、女神殿…」

頭を抱えて嘆く女神にどうフォローするか悩むライト博士。

「昔はあんなに純真無垢で可愛かったのに……ああ…自分の育児能力の無さに腹が立つ……」

「(いくら女神でも育児能力の有無は関係ないんじゃな……)しかし、いくら気が強くともとても素直で優しい良い子ではありませんか…わしは寧ろこの現状においてあの性格は頼もしいと思うのですが…」

「うう~…そうかなあ?私としては女の子らしく育って欲しかったんだよ…」

そこでふとライト博士は1つの可能性が頭に浮かぶ。

自分の最後の息子であるエックスは誰に似たのか真面目で実直なレプリロイドである。

しかしそれはケインのような良識人に保護されていたからではないだろうか?

もし、エックスが変人な人物に保護されていたらどうなっていたか…そこまで考えて戦慄を覚えた。

ライト博士はエックスを見つけてくれたのがケインで良かったと胸を撫で下ろすのであった。 
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