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ある晴れた日に

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152部分:共に生きその二


共に生きその二

「それで一五七って」
「嘘よ」
「中学校の時の身体検査じゃそうだったわよ」
 あまりにも突っ込まれるのでその顔が少し憮然としてきていた。
「ちゃんとね」
「そういや俺達まだ身体検査まだだったな」
「もうすぐだったかしら」
 実は今回身体検査が遅れているのであった。
「だったら今は」
「幾ら位?」
「ちょっと少年」
 咲が首を捻りつつ怪訝な顔で明日夢に言ってきた。
「ちょっといい?」
「何よ」
「背、比べようよ」
 こう明日夢に言うのだった。
「ちょっとね」
「何で?」
「咲が身長一五七よ」
 まずは己の背について述べた。
「だから少年と同じ位だけれど」
「絶対嘘だよなあ」
「どう見たって柳本の方が少し大きいよな」
「なあ」
 皆ここでまたそれぞれ顔を見合わせて言い合うのだった。これまで見てきてどう見ても咲より明日夢の方が小さいとしか思えなかったのである。
「絶対一五七ないよな」
「なあ」
「じゃあ私が縮んだっていうの?」
 実は背のことはそれ程気にしてはいない明日夢だったがそれでもああだこうだと皆から言われるので今はかなり不機嫌になってしまっていた。
「それだったら」
「とにかく試しに背比べしてみたら?」
 恵美が明日夢の横からそっと彼に言った。
「何でもないことじゃない」
「それはそうだけれど」
「ただ背を測るだけだから」
 結局のところそれだけであった。何だかんだと言っても明日夢が主役になることは確実なので彼女にとって悪いところはないのである。
 だからだと。恵美は親友をそっと庇うのだった。
「それでいいじゃない」
「そうね。だったら」
「じゃあ測ろう」
「うん」
 咲の言葉に頷いて立ち上がる。咲もそれに合わせて立ち上がり皆の前で背中合わせになる。そうしてわかったことは。
「ああ、やっぱりな」
「低いわね」
「ああ、低い」
「間違いないわ」
 皆ここでまた口々に言うのであった。そう、やはり明日夢の方が低いのであった。
「少年、やっぱり御前の方が低いって」
「二センチか三センチ位?」
「だから凛と比べると」
「十五センチだな」
「間違いないわね」
 結局十五センチだとわかってしまったのだった。
「そんなところね」
「やっぱり低いじゃない」
「それだけ」
「縮んだって」
 明日夢にとってはそのことがかなりショックであるようだった。
「もっとあるって思っていたのに」
「まあそういうこともあるわよ」
「そうそう」
 恵美と凛が落ち込もうとする明日夢をフォローする。
「けれどこれで身長差はっきりしたし」
「どうなのかな」
「それよ。ロミオとジュリエットでよ」
 また茜が皆で言う。
「ハムレットでも。特に主人公は背が高くなくてもいいけれど」
「ええ」
 それは確かにある。ロミオにしろハムレットにしろまだ少年である。それで極端に背が高い必要もないのである。これがオテロやフォルスタッフ卿ならわからないが。
 
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