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八条学園騒動記

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第五百八話 ナンと海その五

「それでもね」
「遊牧生活がいいか」
「ちなみにパソコンの電源は太陽光だから」
「それはいいな」
「お月様の光でもいいから」
「月光もか」
「そう、ゲル自体がエネルギー受けてくれるから」
 これもこの時代の技術の産物だ、その為モンゴルなどでの遊牧生活も非常に暮らしやすくなっているのだ。
「快適よ」
「それはいいな」
「お風呂も入られるしね」
「待機から水分を集めてか」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「ゲルの中の折り畳み式水槽にお水入れるでしょ」
「後はゲルから貰った太陽光や月光のエネルギーでか」
「それで熱してお湯にして」
 そしてというのだ。
「服もやっぱり折り畳み式の洗濯機使うし」
「洗剤は買い置きだな」
「いざとなればネット通販もあるし」
「生活には困らないか」
「チンギス様の時と比べたら」 
 それこそというのだ。
「全然違うわよ」
「全部文明のお陰か」
「ええ、まあパソコンとかスマホがないとね」
「草原でも暮らせないか」
「そうだけれどね」
 それでもというのだ。
「いい感じでね」
「快適に暮らせるか」
「そうよ、ただね」
「ただというと」
「狼いるから」
 ナンが済んでいた草原ではというのだ。
「家畜襲われるから注意よ」
「ソウゲンオオカミか」
「そう、狼がいて」
 それでというのだ。
「家畜襲うから注意が必要よ」
「狼か」
 そう言われてもだった、ダンはどうかという顔になった。そしてそのうえでナンに対してこう言った。
「俺の街の近くはな」
「狼いないの」
「港町でな」
「近くの山とか草原にもいないの」
「俺の地域で山にいるのは豹だ」
「そっちなの」
「それと虎だが」
 そうした獣はいるがというのだ。
「狼はいないからな」
「野生の狼見たことないの」
「実はな」
「そうだったのね」
「ただ狼は人は襲わないな」
「だって犬よ」
 ナンは今度は人類最初の家畜と呼ばれるこの生きものの名前を出した。
「狼は犬になったでしょ」
「それは有名だな」
「飼う様になってね」
「人を襲わないから家畜に出来てな」
「犬になったから」
「狼は人を襲わないな」
「相当に餓えてたら襲うみたいだけれど」
 稀にそうしたケースがあることも事実だ、白い牙という小説でもそうした場面が書かれている。この物語で狼は非常に重要な存在である。
「それこそ滅多にね」
「襲わないか」
「そうよ」
 実際はそうだというのだ。
「けれど家畜を狙うから」
「そのことは用心だな」
「さもないとね」
「羊や馬を食われるか」
「ご先祖様でもよ」
 ナンは眉を顰めさせてこうも言った。 
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