八条学園騒動記
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第五百八話 ナンと海その二
「別世界だな」
「ダンは海の傍で暮らしていたから」
「ああ、俺にとっては草原がな」
ナンにとっては馴染みの場所であるこちらの方がというのだ。
「本当にな」
「別世界なのね」
「行ったことがない、深海はあるが」
「そっちはあるの」
「深海艇に乗せてもらったことがある」
「それで深海に行ったの」
「深海といっても千メートル位だ」
大体五百メートルから深海になる、何千メートルや一万メートルになると五百メートルや千メートルの世界とは比較にならないまで違う世界になっている。
「そこから先はだ」
「潜ってないのね」
「千メートルでかなり違っていた」
「普通の海の生きものじゃないのね」
「アンコウがいる」
「ああ、あの不細工なお魚ね」
アンコウと聞いてだ、ナンはすぐにこう言った。
「食べると美味しいわね」
「日本ではよく食う魚の一つだ」
「養殖もしてるわね」
この時代ではアンコウもそうしている、尚アンコウは漢字では『鮟鱇』と書くがダンもナンも漢字のこの書き方は知らない。
「そういえば」
「美味いからな」
「お鍋にしたら最高よね」
「他にはダイオウグソクムシもいる」
「あの何年も食べない生きものね」
「あの生きものもいた」
そうだというのだ。
「だがそうした生きものはまだ深海ではな」
「浅い方なのね」
「だからアンコウも釣れる」
漁師達が獲れるというのだ。
「時々海面にも出て来るしな」
「そうなのね」
「深海魚といっても色々だ」
「五百メートル位のところにいるのもいれば」
そのアンコウの様にだ。
「もっと深い場所にいるのもいるのね」
「そうだ、もう一万メートルになるとな」
「ダンも行ったことないわね」
「まだな、しかしその世界はな」
深海もそこまで深くなると、というのだ。
「まさに異次元だ」
「そこまで違うのね」
「水圧も半端じゃないしな」
「普通の生きものは暮らしていけないわね」
「だから形もかなり独特でだ」
このことはこの時代でも注目されている。
「生態系もな」
「独特なのね」
「ダイオウグソクムシよりも遥かに下にいるんだ」
何年も食べずに生きていられるという信じられない生きものよりもというのだ。
「それだとな」
「もうそれこそなのね」
「異様と言っていいまでのな」
それこそというのだ。
「生きものばかりだ」
「お魚だけじゃないのね」
「自分より大きな生物を食ったりだ」
この深海魚は有名である。
「リュウグウノツカイもいる」
「ああ、あのお魚ね」
「この水族館にもいるな」
「飼育物凄く大変なのよね」
「長い間その生態系はわかっていなかった」
その為謎の魚とされてきたのだ。
「その魚もいるしな」
「頭下にして身体立てて泳いで」
「不思議だな」
「あのお魚もいるのね」
「他にも古代から棲息している鮫とかな」
ミツクリザメのことだ、実際に古代から外見が変わっていない。
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