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星河の覇皇

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第七十部第三章 作戦発動その十六

「入ったけれどな」
「それじゃあな」
「勉強とかな」
「今更するなんてな」
「資格取って下士官になるか」
「士官にならなくても食っていけるしな」
 しかも無料でだ、軍隊だからだ。
「あちこちに旅行も行けるし」
「勤務でな」
「それならいいか」
「別に候補生にならなくても」
「幹部にもな」
 果ては艦長にというのだ、連合軍では戦艦や空母の艦長は大佐であるとおおむね定められているところがある。
「下士官になれば一生だ」
「定年までなれるんだ」
「しかも下士官の試験も楽だっていうしな」
「候補生の試験よりずっと簡単だってな」
 そもそも候補生の試験が最初から部内士官の試験のレベルだから当然だ、つまり候補生は最初から士官になることを想定して採用されているのだ。
「じゃあ別にいいな」
「兵長になって後は試験受けるんだ」
「それで下士官になってな」
「一生軍隊で食うか」 
 定年までという意味だ。
「それか資格取って転職だな」
「それでもいいな」
「候補生にならなくてもいいか」
「七つボタン着なくても」
 こう彼等の間で話す、そして。
 兵士の一人がだ、仲間達にこんなことを言った。
「うちの三等伍長候補生だろ」
「ああ、シュタレンスキーさんな」
「あの人な」
「あの人下士官になって四年経ったからな」
 二年の候補生生活を経てだ。
「そろそろらしいぜ」
「試験か」
「試験受けるのか」
「部内士官の」
「この前うちの大尉がそんなこと言ってたぜ」
 彼等の上司の士官がというのだ。
「受けてもらうってな、少尉に言ってたぜ」
「じゃああの人晴れて士官か」
「少尉殿になるんだな」
「下士官から一気に士官か」
「っていうか候補生あがりはな」 
 それこそというのだ。
「元々士官になること前提だからな」
「もう試験受けるの当然から」
「四年経ったらって内定か」
「二十四でか」
 十八で任官して、である。
「晴れて士官」
「俺達と本当に違うな」
「一般と候補生じゃな」
「一般だとな」
 下士官になってもである。
「そんな事あまりかからないしな」
「候補生じゃ誰でもかかるのにな」
「むしろ受けろって言われるのに」
「俺達は声もかからないな」
 自分から受けると言えばいいが基本はそうだ、連合軍では候補生と補士、一般の扱いの違いは軍服の違いと同じだけかそれ以上にあるのだ。
「まあわかっていてもな」
「露骨って言えば露骨だな」
「そうだな」
「それもかなりな」
 こうした話もした彼等だった、連合軍のそうした事情も彼等はわかっていた。それがいいことか悪いことはか別にして。
 その彼等からの報告も統合作戦本部に届いていた、そして。
 作戦発動当日になりだ、バールは統合作戦本部に入ると宇宙艦隊司令長官であるマクレーンと参謀総長である劉を呼んでだった。
 そのうえでだ、二人に強い声で言った。 
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