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星河の覇皇

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第七十部第三章 作戦発動その三

「一応は。魚介類にしても」
「制約はないな」
「アッラーに謝罪したなら」
「許してもらえるな」
「何とか」
 社会的に、であるが無論アッラーにもだ。
「飲酒や食事のことは目標です」
「イスラムにおいてはだな」
「はい、絶対にしてはいけないことではないです」
「そうなるな」
「どうしてもという時はです」
 この『どうしてもという時』は解釈の匙加減次第である。
「食べられます」
「アッラーは許してくれる」
「アッラーは寛大です」
 その寛大さもイスラムの魅力なのだ。同じ神である筈だがユダヤ教の神とはその性格が全く違うのだ。もっと言えばコーランもである。
「そうしたこともです」
「寛大にだな」
「許してくれます」
「連合ではそうだな」
「はい、しかしです」
「サハラでは違うな」
「同じスンニー派だとしても」 
 シーア派は色々な派閥があるので一概には言えない、キリスト教のプロテスタントが様々な派閥があるのと同じだ。
「解釈が違います」
「サハラのイスラムは厳格だな」
「極めて」
 それこそというのだ。
「酒もワインはいいですが」
「今はな」
「しかしワインを飲まない者すらいます」
 コーランの教えを忠実に守ってだ。
「ましてや他の酒はです」
「店に売っているカクテル等はだな」
「飲まないです」
「そうだな」
「豚肉や鱗のない魚は」
「論外だな」
「戒律に則って殺していないものは」
 イスラムのそれにだ。
「やはりです」
「駄目だな」
「そこが難しいです」
「イスラムの戒律を忠実に守っているな」
「サハラは人口のほぼ全てはムスリムです」
 このことはサハラがアラブからはじまっているからだ、アラブ社会は即ちイスラム社会と言ってよかったのがムハンマド以降だ。
「ですから戒律もです」
「そのまま厳しいまま残ったな」
「スンニー、シーアの違いはありますが」
 だがそれでもというのだ。
「それが残ったので」
「その結果だな」
「はい、戒律が厳しいです」
 連合のイスラムと比べてというのだ。
「遥かに」
「そういうことだな」
「その戒律の厳しさを頭に入れて」
「そのうえでだな」
「進めていくべきかと」
「アハバーン中将の言う通りだな」
 ここまで聞いてだ、リバーグはその彼ムアー=アハバーンの言葉をよしとした。セネガル出身で代々のムスリムだ。
「連合とサハラではだ」
「イスラムでもです」
「違う」
「同じコーランを読んでいましても」
「またな」
 違うというのだ。
「あちらの方が厳格だ」
「どうしてもそうなっていますね」
「そのことを頭に入れておかないとな」
「はい、ですから」
「交流をしてもだ」
「逆に衝突になります」
「正規軍と義勇軍はお世辞にも仲がいいとは言えない」
 リバーグはこの現実も話した、彼にとっては困ったことである。 
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