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レーヴァティン

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第九十六話 都市国家達その六

「その時はね」
「終わりだからだな」
「それを仕掛けて」
 そしてというのだ。
「後はね」
「落ちるのを見る、か」
「そう、命を奪えなくても」
 それでもというのだ。
「信用ないと死んだも同然だからね」
「誰からも相手にされなくてな」
「詐欺師だってわかったら」
 若しくはそのレッテルが定着するとだ。
「もう誰も話を聞かなくて」
「何も出来なくなるからな」
「それを狙うってことよ」
「成程な」
「これがこの世界で」
「半島の北はその本場か」
「本場も本場、というかね」
 双葉は久志にこうも話した。
「ローマはその中心よ」
「教皇領か」
「そう、もう謀略の本場は」
「欧州だと宗教にこそあったからな」
「もうとんでもない謀略が常に渦巻いて行われてきた」
「そんな世界だったな」
 メディチ家やボルジア家の世界と言うべきか、権勢を手に入れる為に神に祈った直後に毒殺を企む。それがかつてのバチカンだったのだ。
「それでこの世界でもか」
「まあ私達が起きた世界よりましにしても」
 それでもとだ、双葉は久志に話した。
「やっぱりこの半島、この島の謀略の中心は」
「このローマか」
「そうだったのよ」
「じゃああれか」
 ここでだ、久志も言った。
「俺達もローマにいるんだ」
「だったらよ」
「その謀略も学んでいくか」
「そうべきよ。こちらは使わなくても」
 謀略、それをというのだ。
「知ってると対処出来るでしょ」
「その辺り毒と同じだな」
「そう、どういう毒か知ってるとね」
 調合の仕方や効用、そして解毒剤についてだ。
「対することが出来るでしょ」
「毒も謀略に使われるしな」
「謀略も知ることよ」
 好き嫌い、それに関係なくというのだ。
「まさにね」
「そうだよな、じゃあな」
「謀略のこともね」
「勉強してな」
「そのうえでね」
「対する様にしていくか」
「そうしていくことよ。まあ普段の行いがね」
 それがともだ、双葉は話した。
「第一かもね、結局賄賂とか異性問題とかは」
「普段からしっかりしているとな」
「かからないし埃も立たないから」
「しっかりしていくことだな」
「要するにね、それであんたも私達もね」
「スキャンダルには注意しろ、か」
「そうよ。用心している様で」
 それでもというのだ。
「観られてるしね」
「しかも観ようとしているな」
「ええ、この護民官の宮殿にもね」
 自分達が今いる本拠地と言っていい場所にもというのだ、実は久志は流石にここに密偵は来ないと思っている。
「いるかもよ」
「まさかな」
「そのまさかよ、本拠地にスパイが出入りしているとか」
「そうしたことはか」
「あるでしょ、起きた時の日本だって」
 つまり自分達の国もというのだ。
「そうした話あるでしょ」
「総理大臣が北朝鮮のスパイだった」 
 こう言ったのは剛だった。 
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