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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその四十六

「そこには不正があると思った方がいいです」
「むしろだな」
「はい」
 金はキロモトに強い声で答えた。
「私はそう思います」
「そうした話があったな」
 キロモトはここでだ、八条を見た。そのうえで彼に問うた。
「日本で」
「はい、大村益次郎ですね」
「予算の報告を聞いてだな」
「予定通りの予算だった者の不正を暴きました」
 逆に予定通りでなかった者を普通としたのだ。
「戦争が予定通り進む筈がないと」
「予算でもだな」
「そのことから見抜きました」
「まさにその通りだな」
「戦争は消費です」
 資源、そして予算のだ。
「それも少なくなることはです」
「まずないな」
「少なくなることもまずなく」
「多くなるものだな」
「ですから」
 それでというのだ。
「私もです」
「予算が多くなったことはか」
「我々の弁護をする訳ではないですが」
「それが普通だな」
「そう思います」
 まさにというのだ。
「これが妥当でしょう」
「そういうことだな」
「むしろです」
 金がだ、ここで言った。八条を見つつ。
「よく今回の作戦までです」
「国防省の予算がだな」
「臨時予算を出さずに賄えたと思います」
 こう言うのだった。
「私としましては」
「私もそう思う、連合の国防予算は少ない」 
 国家予算の中においてだ。
「総生産の一パーセント代でな」
「予算の中でも」
「三パーセント位か」
「その程度ですね」
「その程度の予算でここまで出来た」
 キロモトも八条を見つつ言う。
「そう思う」
「はい、確かです」
 金はこのことについても言及した。
「最新型の超々巨大戦艦もですね」
「開発、建造出来てな」
「今回の作戦から投入出来ますね」
「そのうえでの作戦だ」
「そこまで予算がありました」
「普通はだ」 
 普通の者が予算を組めばというのだ。
「新型戦艦の開発、建造までもだ」
「予算が保てないですね」
「そうだ」
「しかしです、長官はです」
「よくやってくれている」
「そうだな、お陰で臨時予算も出さずにだ」
「今回の作戦も出来ました」 
 金は八条を素直に賛辞しつつ話した。
「有り難いことに」
「臨時予算の編成をするとな」
「どうしても野党から批判がきますね」
「見解が甘いだの政策の失敗等とな」
「言われますので」
「必要な時があってもだ」
「あまり組むものではないです」
 金も言う、尚金も財政についてはかなりの締まり屋だ。無駄な出費を抑えることでも定評がある人物だ。 
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