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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその四十三

「謀略を仕掛け続けていこう」
「そして敵を乱し」
「乱しに乱していきますね」
「どの犯罪組織も」
「徹底的に弱めていきましょう」
「このまま」
「そうしよう、しかし技術が違うとな」
 バールはこうも言った。
「謀略も仕掛けやすいな」
「その分ですね」
「どれだけでも仕掛けられますね」
「こちらの姿も隠せますし」
「しかも敵の姿は見える」
「そうした状況ですから」
「実に楽だ」
 その仕事がというのだ。
「敵を幾らでも弱められる」
「エウロパではそうはいきませんが」
「あの国相手には」
「むしろかなりやられていましたが」
 文明、技術、国家の規模等のレベルがかなり開いているとはいえ外縁部の犯罪組織に比べてだ。近いからである。
「外縁部の犯罪組織はです」
「何でもありませんね」
「所詮は小勢力です」
「しかも技術もかなり落ちます」
「我々の最新技術と比べれば」
「何でもありません」
「だから謀略も仕掛け放題だ」
 バールも言う。
「油断は出来ないがな」
「それでもですね」
「思う存分乱せますね」
「そして徹底的に弱められる」
「それが出来ますね」
「かなり弱めたがだ」
 それぞれの組織をだ。
「しかしだ」
「さらに仕掛けてですね」
「弱めていきますね」
「壊滅状態に陥っている組織も出ていますが」
「これからもですね」
「仕掛けていこう、やるなら徹底的にだ」
 実に軍人らしい考えだった、軍人は職業柄動くとなればそれこそ徹底的に行うことが信条だ。だからバールもこう言ったのだ。
「やっていこう」
「はい、では」
「そうしていきましょう」
「作戦の開始まで」
「全てをしていきましょう」
「四分五裂になってもだ」
 それぞれの組織がだ。
「そして抗争を続けていてもだ」
「まだまだですね」
「弱めていきますね」
「もうどうしようもなくなるまでに」
「徹底的に」
「そうしていこう、作戦で損害を出さない為にもな」
 是非にと言ってだ、軍も謀略を仕掛け続けるのだった。こうして外縁部の犯罪組織はどの組織も弱体化を続けていっていた。
 その状況は連合にとって喜ばしいものだった、それは大統領であるキロモトから見てもだ。だが彼は金と八条、今回の作戦の総責任者である二人から作戦発動直前での状況報告を聞いてからこうしたことを言った。
「私は子供の頃よく物語を読んだが」
「海賊ものですか」 
 八条がすぐに察して言ってきた。
「宇宙海賊なり地球の海の海賊なり」
「そうしたものも好きだった」
 こう言うのだった、実際に。
「ロマンを感じてな」
「確かに物語の海賊にはロマンがありますね」
 金も言う。
「トムソーヤでも主人公が憧れていましたし」
「海賊になり海を駆ける」
「そうなりたいと」
「今の時代は宇宙だ」
 大海原でなくだ。 
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