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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第53話:Conscience

ゼロがホーネックを連れ戻してから数日後、エックスとゼロは連続殺人が起こっているジャングルに足を運んでいた。

今では完全な自然は殆ど存在しないので半分機械の木々が生えている。

「森の至るところにあるこの自動天候チェンジャーで、森は良く育っているな。例え山火事になったとしても反応し、即座に豪雨を降らして鎮火させる。おかげで森は迷宮となって連続殺人を行うのも都合の良い場所となる。科学万能も善し悪しだな…なあ、エックス………本当に人間臭いなお前も」

吐いているエックスの姿に呆れるゼロ。

そう言えばルインも同じようなことをしていたことを思い出した。

「すまない…基地で見た殺人事件の資料用フォトを思い出して…どうも俺はルインと同じでああいうのは苦手だ…」 

「俺には理解出来ない心境だな…とにかくあれはバラバラと言うよりも細切れだな…あの斬り口の焦げ…あれはビームサーベルのもの…それもかなりの大型だ。しかも一度に数本束ねないとあんなに細かくはならない。大型ビームサーベルを束ねて振り回すのはどう考えても人間技じゃないな」

また吐き出しているエックスに呆れながらもゼロは情報を纏め直し、それを聞いたエックスも察したようだ。

「うん…イレギュラーってことだな…またドップラーが絡んでいるのか…!!」

木の幹に指を減り込ませる程に力が入るが、そんなエックスの腕にゼロが手を置いた。

「慌てずに一つ一つ解決していくぞエックス。焦るな、焦りは判断力を鈍らせる」

「ああ」

木から手を離すエックス。

ゼロはもう1人の同行者が何処に行ったのかと周囲を見渡し始めた。

「ところで一緒に調査に来たデュークは何処だ?」

「ああ、奥を見てくるって…さっき…」

「うわああああっ!!!」

「「デューク!?」」

デュークの悲鳴にエックスとゼロは急いで向かうが、既にデュークは機能停止していた。

「この傷口は連続殺人犯のものと同じだ!!」

「人間もレプリロイドもお構いなしか…しかもこんな明るい時間帯でのとはな…何を考えている…?」

エックスがデュークの傷口を調べながらゼロは何故この時間帯での犯行に疑問を抱く。

しかし理由は次の瞬間に分かることになった。

飛び出してきた1体のレプリロイドは太陽光をエネルギーにしてビームの爪を発現させる。

「奴は太陽光を武器エネルギーにしていたのか!!」

この時間帯での犯行の理由に気付いたゼロは迎撃しようとするが、敵の動きがゼロの想像を上回っており、擦れ違いざまにゼロのボディに傷を付ける。

咄嗟に体を捻ったことで致命傷は避けたが、直ぐには起き上がれない。

「ゼロ!!」

そして木を足場にして次はエックスに狙いを付けてきた。

「くっ!!もう反転して来たのか!?」

「グルオオオオオッ!!」

「!?」

「(何だこの雄叫びは…?)」

雄叫びに反応する2人。

敵は攻撃を中断して森の中に逃げていく。

「攻撃を止めた…?あいつに命令を下す“上”がいるのか?真犯人はそいつなのか?」

「何をしている!!ここで奴を取り逃がしてどうする!!早く追うんだ!!」

「…分かった!!」

ゼロがエックスに犯人を追い掛けるように言うとエックスも頷いて追い掛けていく。

「(情けない…一撃でこのザマとは…)」

ダメージが深いゼロは直ぐには動けない。

取り敢えず自己修復がある程度終わるまで待つしかないと思っていたが、気配を感じてそちらに振り向くと、そこには虎の大群がいた。

そして追い掛けたエックスは犯人を見つけ出し、攻撃を仕掛けようとするも、それよりも早く相手は動いた。

エックスの左肩のアーマーを噛み千切りながら距離を取る。

「連続殺人犯はお前だったのか…密猟者逮捕用レプリロイドの…シャイニング・タイガード!!」

「殺す…殺す…」

「ドップラーに何かされたのかは知らないが、殺人まで犯すとは見損なったぞ!!」

チャージショットでタイガードを攻撃するものの、ビームクローで掻き消される。

「チャージショットが掻き消された!?そうか、奴は太陽光エネルギーを直接武器エネルギーに変換している!!この天候では奴のビームクローは常に最大出力なのか!!」

タイガードが一気に距離を詰めてくる。

エックスはZXセイバーでビームクローを受け流していく。

「(不意を突いたとは言えゼロを一撃で倒す攻撃だ!!強化アーマーがあってもまともに受けるわけにはいかない!!)」

屈んでビームクローをかわすと、タイガードに足払いをかけて距離を取る。

「(奴相手に接近戦は不利!!距離を取ってバスターで攻撃するしかない!!)」

バスターをタイガードに向けるが、獣型のレプリロイドの機動力はエックスの想像を超えており、既にエックスの眼前にいた。

ビームクローを何とか後退することで致命傷を避けるが、タイガードの連続攻撃にエックスは為す術がない。

セカンドアーマーの防御力のおかげで動けない程のダメージは免れているが、このままではやられてしまうと判断したエックスは目の前の装置を見遣りながら一か八かの賭けに出る。

「くっ…このままでは嬲り殺しだ。一か八かだ…!!」

跳躍し、木に飛び乗ると次の木に飛び移る。

「に…逃がすかぁーーーっ!!」

エックスは着地位置をずらすことでタイガードの攻撃範囲から逃れる。

タイガードは邪魔になる枝をビームクローで斬り落としていくが、木の葉がビームクローによって燃え、森は火事となってしまう。

そして広い場所に出たエックスとタイガードだが、エックスはダメージのせいか膝を着いてしまう。

「あ…ぐう…殺す…殺す。殺す!!」

ビームクローがエックスを貫いた次の瞬間、雨雲で太陽が隠され、豪雨が降り注ぐ。

「雨…豪雨!?」

「狙い…通りだ…!!」

エックスは狙い通りとなったことに笑みを浮かべるとセイバーで雨に気を取られたタイガードの右腕を斬り落とす。

「ビームクローが消えた…っ!!」

「そうだ、お前が起こした山火事によって反応した自動天候チェンジャーがお前の武器エネルギー源である太陽光を覆い隠し、遮断したんだ。」

「まだ牙ある!!」

エックスに飛び掛かろうとしたタイガードだが、ぬかるんだ地面に足を取られて転んでしまう。

「濡れた地面はお前の自慢の機動力も奪ったんだ。もう終わりだタイガード。罪を償うんだ」

バスターを向けながらタイガードに罪を償うように訴えるエックスだが、タイガードは聞く耳持たずに尾の先端から光弾を発射してくる。

「まだそんな武器が残っていたのか!?止めろ!!これ以上しても何にもならない!!」

「殺す…殺す…人間を…その味方を…!!」

「タイガード…くそおっ!!!」

豪雨が終われば一気に不利になるエックスは断腸の思いでチャージショットを放った。

タイガードの光弾はチャージショットに伴われたエネルギー弾に弾かれ、そのままタイガードに直撃し、直撃を受けたタイガードは力なく倒れた。

「タイガード…」

倒れたタイガードを無念そうに見つめるエックスだが、次の瞬間にまた雄叫びが響き渡る。

「また…?タイガードに指令を送っている奴が何処かにいるのか?」

「それは違うぞエックス」

「え?ゼロ!?怪我は大丈夫なのか!?それと…その抱いている虎と後ろの虎達は?」

振り返った先には雌の虎を抱き、後ろに虎の大群を連れたゼロの姿があった。

「ダメージは自己修復で何とかなった。どうやら彼女とこの虎達はタイガードと縁があるようだ」

ゼロが抱いていた雌虎をタイガードの近くに下ろすとエックスに事情を説明する。

「エックスがタイガードを追い掛けた後に、この虎達に囲まれてな。敵意は感じられないから連れていかれるままについていったんだ。そして彼女達の住み処らしき洞窟に着いた。そして怪我をしていた彼女が訴えるように吠えていた。恐らく密猟者の人間に撃たれたんだろう。酷い怪我だった。」

「それじゃあ、あの雄叫びは彼女だったのか…」

「そうだ。支部に連絡を入れて医療用具を転送してもらって彼女の手当てをしてやるとフラフラと外へ行こうとしていたから俺がここまで運んできた訳だ」

「そう…なのか…彼女にとって…タイガードは大切な人だったのかな…?だからずっとああして…」

タイガードの内部機関を舐めている雌虎の姿に、彼女にとってタイガードは大切な存在だったのではないかと思うエックス。

「は?……まあ、タイガードは虎型のレプリロイドだからな。モデルとなった虎と交友は出来なくはないだろうが…」

「軽率だったかな…俺は彼女から大切な人を奪ってしまった…あんなに一生懸命なのに…タイガードはもう…俺のバスターがタイガードを……」

「仕方ないだろう。今のタイガードを放置していては罪のない人間やレプリロイドが犠牲になる…お前は間違っていない。」

雨雲が無くなり、再び太陽光が降り注ぐ。

タイガードにも太陽光が降り注ぎ、それによって再起動が始まったことを示す起動音が鳴った。

「え?」

タイガードの腕が動いて雌虎の頭に回された。

「グル?」

「奇跡だ…!!」

タイガードが起き上がり、雌虎の傷に響かないように優しく抱き締め、雌虎も嬉しそうに頬擦りする。

「奇跡だと?バックアップシステムがドップラーの手に掛かっていなかっただけだろう。」

「ドップラー程の科学者がミスするはずがない。タイガードの最後の両親がドップラーの手からシステムを守ったんだ」

「非科学的な」

「科学万能も善し悪しなんだろう?」

「…だったな」

エックスの言葉にゼロは微笑みを浮かべる。

タイガードにとってあの雌虎はきっとタイガードの心の支えでもあったのだろう。

だからこそ、彼女が人間に撃たれたことで人間とそれに味方するレプリロイドに憎しみを抱いてドップラーに付け込まれてしまったのだ。

タイガード達の姿を見て何となくエイリアの姿が脳裏を過ぎり、エックスはハンターベースに帰還するとエイリアに通信を送る。

『あら?エックス…どうしたの?』

「あ、忙しいのに通信を寄越してごめん…大した用事じゃないんだけど…」

『良いわよ、今は休憩中だし』

「そうか…実は今日…」

今日の任務の出来事をエイリアに話すと、興味深そうに聞いてくれた。

研究者であるエイリアからすれば動物とレプリロイドの関係とは興味深いものだからだろう。

こうして今日の任務は終わりを告げた。 
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