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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその三十二

「正攻法だとな」
「全くですね」
「もっともこれは内密に行っているがな」
「連合にもですね」
「極秘のものだ」
 作戦の中でもというのだ。
「すぐには公表されない」
「公表しては元も子もないですね」
「何時何処で誰に対してどういった謀略を行うか」
「公表してはですね」
「何の意味もない」
 それこそというのだ。
「無意味なことこの上ない」
「誰でもそう言いますね」
「そして考える」
「謀略は裏から仕掛けるものであり」
「だからこそ効果がある」
「その通りですね」
 趙虎も確かな声で話す。
「情報公開は民主主義国家において常に言われますが」
「こうしたことを公開するとな」
「国益を損ねますね」
「損害を多く出してしまう」
 軍人や警官達にというのだ、今回の場合は。
「そうなるからな」
「全くです」
「だからだ」
「この件は公表せず」
「すべきでなくな」
「また使うなと言われても」
「使わずにはいられない」
 損害を最低限にすべきであってもというのだ。
 そしてだ、アラガルは趙虎にこうしたことも言った。
「今回軍は結構躊躇があったそうだな」
「我々と同じく」
「そう、警察とな」
「謀略の使用の是非についてですね」
「現場と軍、警察の上層部は是非にと主張したが」
 言うまでもなくアラガルもだ、彼の場合は現場を預かる者であると共に中央警察の高官でもあるから余計にだ。
「しかしだ」
「内相は反対しておられましたが」
「あちらの長官もだ」
「国防長官もですか」
「お二人共正統派の政治家だからな」
 純粋に政治力と統率力で以て政治家として仕事をしていき身を立てていく。八条も金もそうした人物である。
 そしてだ、それ故にというのだ。
「謀略はだ」
「お嫌いだからこそ」
「少なくとも好まれてはいない」
 八条も金もというのだ。
「だからだ」
「国防省でもですか」
「謀略の使用で躊躇があったらしい」
「トップの長官の断が下りなかったのですね」
「是がな」
 使用の許可、それがというのだ。
「そうだったとのことだ」
「八条長官は清廉な方で」
「金内相もな」
「内相はとりわけですね」
「そのご気質故にだ」
「中々、ですね」
「謀略の使用を認められなかった」
 そうした事情もだ、アラガルは話した。
「必要とご存知でもな」
「損害を最低限にする為の」
「そうだったとのことだ、ただな」
「ただ?」
「八条長官は伊東首相が政治の師だが」
 日本国首相である彼女がというのだ。
「あの首相とは違うな」
「伊東首相は策士ですからね」
「稀代の謀略家だ」
 実際にこうも呼ばれている。 
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