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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその三十

「犯罪を犯して生きている」
「悪事を悪事と知り」
「そして何時討伐されるかわからずだ」
「内部の密告者も常に警戒しなければなりませんね」
「明日の命も知れない」
「そうした世界だからこそ」
「どうしても刹那的になるだろう」
 それ故にというのだ。
「飲む酒もそうしたものになる」
「安く強いだけの悪い酒ですね」
「それをいつも飲んで泥酔する日々だ」
「だからそうした酒が売れますか」
「そうなるだろう、ではそうしたさ毛にこそな」
「まさにですね」
「仕込んでおくとしよう」
 まさにとだ、アラガルはにこりとせず鋭い目になって言った。
「毒をな」
「時限爆弾となるそれをですね」
「それは確実に爆発する」
「連合軍が攻めるその時に」
「死にはしないまでも動けなくなる」
「飲んだ者達は」
 趙虎も言う。
「そうしたものですね」
「敵に塩を贈るという言葉があるが」
「そこに毒を仕込めばですね」
「これ程強いものはない」
 まさにというのだ。
「勿論塩にも仕込んでいるしな」
「密売の品にですね」
「中には自給自足の者達もいるが」
「完全に外と隔絶している勢力もないですね」
 例えそれがどれだけ異常な集団であってもだ。
「犯罪を起こす集団ならば」
「完全に外と隔絶するならだ」
 それならばとだ、アラガルは言った。
「それこそ完全な世捨て人集団でありだ」
「犯罪も犯しませんね」
「彼等だけで独自の社会を完全に築いてな」
「そこで生きていきますね」
「犯罪はそれだけで社会との接点となる」
 それが悪事であろうともだ、犯罪というものは社会において起こるものであるからである。社会の外にいては犯罪でも何でもないのだ。
「海賊行為やテロ行為もだ」
「カルト教団の行動もですね」
「全て社会との接点となる」
「そして接点を持つからには」
「何かが必要だ」
 社会からというのだ。
「それならばだ」
「闇からでも商売が出来ますね」
「だからだ」
「我々もそこに付け込んでいますね」
「あらゆる組織にな」
 外縁部の全ての犯罪組織にというのだ。
「マフィア、ギャングも含めてな」
「全てですね」
「売っている、毒は着実に仕込んでいる」
「彼等の中に」
「様々なものの中に含ませてな」
 それこそ酒や塩だけでなく艦船に使う物資にもだ、連合は外縁部の犯罪組織に何かを仕込んでいるのだ。
「タイマーはセットされている」
「極端な場合には拠点の建築に使う物資にも」
「仕込んである、ドアが急に崩れることもだ」
「家の」
「それもある、これは効く」
「そうした意味でも最大限に弱らせた相手ならば」
「勝つのはどうということはない、それこそだ」
 まさにとだ、ここでアラガルはこうしたことを話した。 
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