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星河の覇皇

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第七十部第二章 同士討ちその十四

「そして身だしなみと清掃、市民との交流」
「災害救助の訓練」
「それの実施もですね」
「そうしたことを優先させ」
「実戦訓練はその後」
「そうなりますね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「それでいいと思います」
「正規軍については」
「あくまで、ですね」
「そうしたことを優先させ」
「厳しくはならない様にですね」
「義勇軍とは違いますので」
 軍としての事情がだ。
「それでいいと思います」
「体罰も厳禁ですね」
「無論です」
 それもというのだ。
「暴力は如何なる組織でもあってはならない」
「その通りですね」
「合法化にある組織なら」
「健全な組織ならです」
「暴力はあってはなりません」
「否定されなければなりません」
 軍人達も言う、連合では暴力は徹底的に忌むべきものとして考えられている。さながら地主が小作人達を虐待する様なものとして。これを貴族の領主が使用人や奴隷達にするものとして考えても全く同じことである。
「何があっても」
「はい、だからです」
「暴力は厳禁とされていますね」
「これは義勇軍でもですが」
「正規軍なら尚更ですね」
「存在してはなりません」
「若し暴力を振るえば」
 その時はというのだ。
「厳罰です」
「悪質な場合は軍法会議にかけ」
「そしてその尊厳の否定も有り得ますね」
「軍人として、人間としてのそれを」
「そこまで定められていますね」
 暴力で相手を死なせれば容赦なく殺人罪にも問われて惨たらしい処刑となる、とかく連合軍の軍律は厳しいのだ。
「連合軍は紳士たれ」
「その教えに従い」
「軍人は戦場の紳士であるべきです」
 武士でも騎士でもないがだ、八条はこう言った。
「人としてです」
「間違ったことをしてはならない」
「だからですね」
「そうしたことがない様に」
「必ずですね」
「はい、暴力は厳しく戒めていきましょう」 
 これからもというのだ。
「何があろうともあってはならない」
「暴力はその組織を歪めますし」
「評判も落とします」
「起こしてはならないし放置もならない」
「絶対にですね」
「人の心理は歪な一面もあります」
 このこともだ、八条はよくわかっているのだ。ただ政治家として事務処理能力や政策立案能力、実行力に決断力が備わっているだけではないのだ。こうした人間心理も理解し把握してそのうえで動ける人物なのだ。
 だからこそだ、ここでもこう言うのだ。
「いじめはどうしてもあります」
「残念なことにですね」
「あらゆる組織に存在する話ですね」
「学校でも家庭でも」
「企業でも官公庁でも」
「人といじめの関係は切っても切れません」
 どうしてもというのだ。
「存在しているものです」
「はい、残念なことに」
「いじめもまたありますね」
「暴力もまた」
「共にですね」
「人は自分より弱いと思った相手を虐げ自分を強いと思いたがる心理があります」 
 当然醜い一面である、人間は美醜の生物でありそうした醜い一面ともどうしても切っては切れない関係にあるのだ。 
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