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ネバーランドの住人達

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第四章

 二人は船長室で紅茶と三段のティ―セット、エクレアとスコーン、フルーツのそれを楽しみつつお話をはじめました。ピーターパンはすぐにでした。船長自身に尋ねました。
「僕は船長も海賊の人達も何度もやっつけているね」
「忌まわしいことにな」
 この質問に船長はお茶を飲みながら不機嫌な顔で応えました。
「今度は負けないぞ」
「こっちもね、けれどね」
「何故私達が何度も蘇っているか、か」
「うん、それはどうしてかな」
 このことを尋ねるのでした。
「一体」
「そのことか」
 船長はピーターパンの今の質問に今度は冷静なお顔で言葉を返しました。
「何かと思えば」
「その口調はわかっていると思っていいのかな」
「私達が何度も蘇るのは何故か」
「うん、どうしてかな」
「それは私達も妖精だからだ」
「ああ、だからネバーランドにも来たんだね」
「そうだ、私は船と船員達も嵐で死んでブルーマンになった」
 そうだったというのです。
「この妖精にな、ブルーマンは海で船に歌での勝負を挑むが私達にそうした趣味はなくな」
「このネバーランドに来たんだ」
「そして不本意だが貴様とも戦っているのだ」
「そうか、船長も妖精だったんだね」
「そう言う貴様も妖精ではないか」
「それはね」
「そして島で貴様と共に暮らしている子供達もだ」 
 その彼等もというのです。
「妖精だ、私は海で死んで妖精になったが」
「僕達も」
「察しがいいな、貴様達は元々生まれる前か生まれてすぐに死んだ子供達だったのだ」
「その子供達が妖精になってなんだね」
「この世界に来たのだ」
 ネバーランドにというのです。
「私は子供の頃読んだ本でネバーランドのことを知っていたのだ」
「船長が受けた教育の中で」
「そうだ、その中でだ。そして船員達にも話していてな」
「皆知ってるんだ」
「そうだ、そもそも貴様は私を何だと思っていた」
「海賊だよ」
 ピーターパンはすぐに答えました。
「僕の敵のね」
「だがここはネバーランドだ」
「妖精の世界の中にあるね」
「そうした島だ、国と言ってもいいか」
「そこにいるのなら」
「私も船員達もだ」
 皆というのです。
「妖精なのだ」
「僕達と同じだね」
「そうだ、そして貴様はな」
「子供だったんだね」
「生まれる前に亡くなったか生まれても子供のうちにな」
「ティンも他の皆も」
「だから貴様は子供が好きでだ」
 ウェンディ達の様な子供達がというのです。
「そして子供を国に招いているのだ」
「子供だからだね、僕も」
「そういうことだ、これでわかったな」
「全てね、船長のことだけじゃなくて僕達のことも」 
 ピーターパンは船長に確かな声で答えました。
「わかったよ」
「ならいい、では話はいいか」
「こえでね」
「そうだな、では今度会う時はな」
「敵同士だね」
「今度こそ貴様に勝つ」
 船長は笑みを浮かべてでした、ピーターパンに告げました。 
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