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魔法少女リリカルなのは 大切なもののために

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第4話

 
前書き
ようやく導入話ラストでございます。
次回からいよいよ本編ですね。

今回戦闘シーンで原作に出てきた魔法を元にしてオリジナル魔法を作ってます。うまく表現できているかわかりませんが、ご了承ください。
あと、ひとつだけ、他作品の技を利用させてもらっています。詳しくは後書きで 

 
あの日からの一年は瞬く間に過ぎようとしていた。
 僕は必死に勉強と体力作り、魔法の基礎や戦術を勉強した。
 一人では限界があるのは分かっている。だから、使える方法は全て使った。
 おじさんに魔法関連の教材と練習用のデバイスを送ってもらい、練習方法のアドバイスやトレーニングメニューも組んでもらったのだが、その内容がかなりハードだった。
 起床は朝の5時半、そこから1時間ランニングとストレッチを行い魔法行使のための精神統一を30分。その後朝食を摂り、ランニングを兼ねて走って登校。登校の後、空き時間を利用して一般常識や学校の勉強を行うが内容は今学んでいるものではなく3学年上のものだ。さらに、授業中はマルチタスクを使用し魔法の戦術身体の動かし方を脳に刻み込む。マルチタスクを習得していなかったときはよくボケっとするなと先生に怒られたのはいい思い出だ。
 授業が終わればまたトレーニングだ。筋肉トレーニングはやりすぎるとカラダに余計な筋肉が付くとのことで、必要最低限に留め、体感トレーニングを中心に行う。
 体が疲れたところで、次は疲れきるまで魔力の操作を行う。リンカーコアが枯渇すればするほど、若いうちは魔力量が増えていくとはアルおじさん談。
 帰宅後は夕食をとって部屋で勉強をし、19時から20時までは休憩、そしてまた魔力行使を1時間行い、入浴、その後ストレッチと勉強。就寝は日付が変わってからという生活をしていた。
 うん、振り返ってみたけど小学生のすることじゃないよね、これ。でも、週に1回は休息日を作れとのことだったので休む日には友達やリュートになのはちゃんと遊んだりして過ごしていた。特に仲良くなった男の友達もいるんだけど、それはまた今度話すとして、明日は遂にお父さんと戦う日になった。
 正直、今のレベルでお父さんに勝てるとは思っていない。
 だけど、自分自身の将来のために全力で挑まないと・・・
 そう思い、その日は早めに就寝した。



 翌日の早朝、村埜一家はそろって街外れにある雑木林の中にいた。

「それじゃあ、結界を張るわね」

 カレンがそう言うと、彼女の足元に円と四角形を2つそして幾何学模様が入った薄青色の魔法陣が展開されると同時に、その周囲一体の風景が灰色に染まっていく。

「強めに結界を張っているけどあんまり強力な魔法は耐えられないから気をつけてね」

 カレンはそう告げるとまだ眠そうな目を擦っているリュートの手を引いて離れていく。
 その場にはリュウジとリョウの二人だけとなった。

「リョウには悪いが手は抜いてやれないからな。どちらかが参ったといった時点か戦闘不能になった時点で終了だ。」

 リュウジの言葉にリョウは首を縦に降って答える。
 その返答と同時に両者がバリアジャケットを装備する。
 リュウジは管理局の執務官のほとんどが利用している黒を基調としたバリアジャケット、対するリョウは、武装隊が装備しているチェストガードとショルダーアーマーがついたものだが、それは自らの体のサイズに合うよう調整されている。
次の瞬間、リョウは魔力弾による先制攻撃を仕掛けた。
 リュウジは焦る様子もなく、正面から迫る魔力弾をサイドステップで回避するも既にそこには別の魔力弾が迫っていた。

「ちっ」

 リュウジは舌打ちをすると空へと舞い上がるがそこにはダガー型の魔力スフィアが6つ設置されていた。

「いつの間に!?」

「スティンガーダンス」

 リョウのその言葉とともに6つのダガーがそれぞれ不規則にだが舞を舞っているかのように動きリュウジに襲いかかる。
 だがリュウジは歴戦の戦士である。ダガーそれぞれの動きを見極めると、的確に魔力弾で撃墜していく。
 6つ目のダガーを破壊した瞬間、リュウジは背後を振り返ると同時に自らのデバイスを構えて上から下へと振り下ろす。
 ガキンっと金属同士がぶつかる音が聞こえ同時に腕に振動が走る。
 そこには背後からデバイスで近接攻撃を仕掛けたリョウがリュウジの振り下ろしたデバイスを受け止め鍔迫り合いの状態になっていた。

「大したものだ。最初の奇襲はスティンガーレイ、そして事前にセットしておいたスティンガーブレイドのオリジナルバリエーション・・・そこに背後からのブレイクインパルス。いい戦術だねリョウ」

 リュウジは少し顔を綻ばせるが、対するリョウは内心かなり焦っていた。
 リョウはリュウジには敵わないと自覚している。一年そこらハードな訓練をしたとしても、場数を踏んだ父親には勝てるわけがない。ブランクこそあれ経験値は圧倒的に上だと分かってしまったのだ。訓練を初めて半年経過した頃に・・・
 だからこその開始直後の奇襲作戦で優位を取るつもりであったのだ。

「だけど、いい戦略だからこそ、読みやすい!」

 その言葉と同時にリュウジが自らの周りに20を超える魔力スフィアを出現させる。

「っ!」

 リョウはすぐさま力任せに鍔迫り合いを解くと、一気に後退する。
 その交代と同時に20の魔力スフィアがリュウジを中心に回転を始めるとスフィアから次々と魔力弾が発射される。

「シュートバレット、ガトリングシフト」

 その言葉通り、ガトリングガンのような凄まじい魔力弾の連射にリョウは飛行しながら回避し攻撃に転じようとするも、リュウジを中心に動いている魔力スフィアは彼が動けば自然とその方向を変えるため攻撃に転じることができない。

「攻撃に出れない・・・だったら」

 リョウは空中から林の中へと降下すると、リュウジの視界から姿を消した。
 リョウはアルティスから事前に今の魔法のことを聞いていた。
 リュウジが使える攻撃魔法は少ない。
 接近戦用の魔力刃と打撃のブレイクインパルス、そして射撃魔法のシュートバレットに直射型砲撃のストライクスマッシャーだけである。
 だが、リュウジが使う攻撃魔法はほぼシュートバレットに限られ、接近戦もブレイクインパルスを使うか使わないかというくらいだ。
 事実、先ほどのリョウの攻撃を自らの攻撃で防いだ際も攻撃魔法は使用していない。
 そう、攻撃魔法はだが・・・
 林に逃げ込んだリョウは移動しながら作戦を考える。

(あの近接攻撃に使われたのは恐らく強化魔法・・・ストライクパワーだけ、接近戦だけなら以外にこっちに分がある。お父さんは接近戦が苦手だ。ブレイクインパルスに通常の強化打撃で合わせれば手がしびれて暫くは使えない。とすれば、あのガトリング砲をどうにかしないと)

 リョウは自らが独自に学んだこと、アルティスから受けた講義を思い出しながら林の中をジグザグに飛行し位置を掴ませないように移動していく。

(おじさんが言っていたあの魔法の弱点は・・・)

 リョウは射撃が止まったことを感じると、ゆっくりとリュウジの方向へと移動を始めた。
 一方、リュウジはいきなり切り札とも言える魔法を使用してしまったことに若干焦りを感じていた。

(腕が痺れる。まさかブレイクインパルスとはな・・・判断ミス、やっぱりブランクか)

 痺れる両腕で、なんとかデバイスを持っているものの、リョウの見た目以上に鍛えられた筋力と握力で使用されたブレイクインパルスはリュウジの予想を上回っていた。
 それに、接近戦時の思いっきりの良さと、相手の死角からの攻撃、そして後退のタイミング、どれをとっても接近戦の能力は自らよりも上であるということを自覚させられた。

(リューネの血か)

 今は亡き前妻の接近戦の強さは異常であった。恐らく当時の管理局で彼女に勝てる人はいなかっただろう。リョウはその才能を受け継いでいるのかもしれないと彼は思ってしまう。
 少しだけ嬉しいような気にもなるが、頭を振って思考を切り替える。

(さて、恐らく次の手は高速移動か死角からの接近戦どちらかだろうけど・・・このガトリング砲どうやって攻略するのかな?)

 リュウジはそのように思いながら全方位へと神経を集中させる。
 と、同時に自らの真下に無数の魔力反応を感じた。

「真下!?」

 咄嗟に交代すると、リュウジがいた場所を無数の魔力刃が地上から伸びてきた。
 そう、魔力刃が飛んできたのではなく、伸びてきたのだ。

「何、この魔法?」

 リュウジが初めて見る魔法であった。
 しかも、移動した際に遅れて付いてくる魔力スフィアが数個破壊されていた。

「そこ!」

 リュウジは魔力刃がきた方向に向けて射撃を始めた直後に、背後に気配を感じ、振り向きざまに痺れる腕でデバイスを振るうもそれは虚しく空を切った。

「はぁあああ!」

 リョウはリュウジのデバイスが当たる直前にバックステップし攻撃を回避すると、更にフロントステップで攻撃に転じるが、それは対リュウジ戦においては悪手であった。

「甘い!」

 直後、残り15個になっていたスフィアのうち2個が二人の間に躍り出て、そのままリョウに直撃する。

「あぐっ」

「そこだ!」

 自動で設定してある防御魔法が発動し、リョウはダメージこそ余りないものの、体制を崩し、一瞬の隙を生む。直後、リュウジのガトリングシフトが作動した。
 ほぼゼロ距離でのガトリングの直撃、これで勝敗が決したと、リュウジも離れてモニターしていたカレンもそう思っていた。

「・・・まだ・・・まだーーー!!」

 その声と共に、リョウは急降下しながらデバイスを振り下ろす。リュウジの攻撃をまともに受け、意識を失いながらの攻撃のは、クリーンヒットとは行かないものの、その一撃は確かにリュウジを捉えたのであった。




 リョウが気づいたのはその日の夜であった。

「目が覚めた?リョウくん」

 そこには笑顔のカレンの姿があった。
 どうやら、気を失ったリョウを看病していたらしい。

「お母さん、やっぱり、僕負けたんだね?」

 その問にカレンは苦笑する。

「覚えてないの?まあ、ガトリングまともに受けてたから仕方ないか。じゃあ、仕事に出てるお父さんから伝言ね。リョウくんのこれまでの努力と今日の試合の結果から、私たちはリョウくんがミッドに行くことを認めます。」

「へ?」

 リョウは素っ頓狂な声を上げた。
 今気がついたということは自分が負けたからに違いない。
 だというのに、なぜ許可されたのだろうか?

「リョウくん、思い出して。お父さんは最初なんて言ってた?」

 リョウは試合を始める前の父の言葉を思い出す。

『どちらかが参ったといった時点か戦闘不能になった時点で終了だ。』

「そう、最後のリョウくんの攻撃がお父さんの肩に入ってデバイスを落とした際にお父さんが参ったっていったの。その後にリョウくんが気を失ちゃったのよ。だからこの試合はリョウくんの勝利です。」

 カレンは微笑みながら、ゆっくりとリョウの頭を撫でる。
 リョウは実感がわかなかった。
 それはそうだろう。あれは確実に自分の負けだ。きっと、親の情というものが働いて、自分の勝ちになったのだと、リョウは判断した。

「ねえ、リョウくん」

 そんなことを考えていると、カレンが撫でるのを辞めて話しかけてきた。

「なに、お母さん?」

「あの時使った地面から伸びる魔力刃はリョウくんが考えたの?」

「うん、魔法の勉強をしてたら、なんとなくイメージが浮かんでやってみたら意外と出来たんだ。」

「そっか、やっぱり才能あるんだね」

 カレンはそう呟くと、リョウを静かに抱きしめる。

「まだ時間はあるけど、今のうちに言っておくね」

 リョウはなんだろうと抱きしめられたまま首を傾げる。

「向こうに行っても無理だけはしないでね。リョウくんはリョウくんのペースで頑張ればいいから。この一年みたいなことを続けてたらいつか体壊しちゃうからね。それと、最初反対してたお父さんの気持ちも、時間かかってもいいからわかってあげてね」

 カレンのその優しい声にリョウは

「うん、約束する。」

 そう答えると、静かに母親に抱きつくのであった。




 それから一ヶ月後、アルおじさんが迎えに来る日を迎えた。
 昨日のうちに仲良くなった親友とは別れを済ませ、メールアドレスも交換した。
 なのはちゃんとも昨日のうちにお別れをしている。
 もう、それは大変でしたとも、大泣きされて宥めるのに2時間、説得するのにも2時間かかったのですから・・・
 なのはちゃんとは必ず帰ってくるとの約束をし、なのはちゃんのお父さんの士郎さんとお兄さんの恭也さんには帰ってきたら覚悟しろという視線をいただきました。
 そして荷物もまとめ終わり、後は出発するのみとなりました。

「忘れ物はないか、リョウ?」

 アルおじさんがそう聞いてくる。

「うん。大丈夫です。」

 僕がそう答えると、リュートが僕の袖を握ってくる。

「お兄ちゃん、ホントに行くの?」

 涙を浮かべながら言うその姿に決意が揺さぶられました。

「リュート、なのはちゃんや友達とも仲良くな。」

「うん」

「友達いっぱい作れよ」

「うん」

 そう答えたリュートの頭をクシャクシャと撫でると、ようやく掴んでいた袖を離してくれた。

「お母さん、行ってきます。」

「はい、いってらっしゃい。時間があったら電話するのよ」

「うん」

 お母さんに挨拶し、お父さんの所へ行く。

「お父さん、行ってきます。」

 その言葉に、お父さんは黙って僕を抱きしめてくれました。

「リョウ、これだけは約束してくれ。」

「何?」

「自分の命とそれと同じくらい大切なものを一つ見つけて、その二つを必ず守り切ること・・・だ」

 自分の命とそれと同じくらい大切なもの

「今はわからなくてもいい。きっといつかわかるから・・・約束できるか?」

「もちろん」

 僕がそう答えると、お父さんは苦笑しながら僕の頭を撫で、ポケットから何かを取り出し僕の首に付けてくれた。

「お守りだ。きっとお前を守ってくれる。」

 僕に付けられたのは片翼を型どったペンダントだった。

「ありがとう」

「じゃあ、そろそろ行くか」

 アルおじさんがそう促した。

「はい!」

「アル、リョウを頼んだぞ」

「よろしくお願いします。提督」

 お父さんとお母さんがおじさんに挨拶する。

「ああ、リョウは俺が守るさ。必ずな・・・行くぞ、リョウ」

 そう言って、アルおじさんが展開された魔法陣へと入る。

「改めて、行ってきます。」

「ああ、行ってこい」

「体に気をつけてね、リョウくん」

「いってらっしゃい、おにいちゃん」

 家族の見送りの言葉を受け、僕は魔法陣へと入る。
 いざ、ミッドチルダへ
 僕は新たな一歩を踏み出した。
 
 

 
後書き
下手くそな戦闘描写ですいません。
戦闘シーンは第三者視点にしてみたのですがいかがでしょうか?
やはり視点変更の時はそのように表記したほうがいいのか迷ってます。よろしければご意見いただけると嬉しいです。

誤字脱字ありましたら報告お願いします。

感想、評価のほうもよろしければお願いいたします。

最後に、地面から伸びる魔力刃の攻撃ですが、元ネタは魔動王グランゾートで、主人公機グランゾートが使用する攻撃魔法『エネルギーボルト』です。
 本来の描写は、大きな魔力球を地面に叩きつけ、球がはじけた際にそのエネルギーが何本もの光の矢となり対象の方向へと進み地面から対象を切り裂く魔法でございます。
詳しくはグランゾートの作品を見てください 
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