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怨霊の謎

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第一章

               怨霊の謎
 遠藤涼平と武者小路弦太郎は遠藤の神託に従い今は土佐にいた、そして高知城天守閣の最上階に登ってだった。
 そうしてだ、遠藤はこんなことを言った。
「見晴らしがいいが」
「悪だくみを高らかに言う様なね」
「そんな気持ちにもさせられるな」
「昔の特撮映画であったのよね」
「あのシリーズのか」
「そう、仁作目でね」
「ミノタウロスみたいな怪人が出ていたな」
 遠藤もその映画について述べた。
「そうだったな」
「そうよ、大砲を付けたね」
「そうした怪人が出ていてな」
「起きた世界の高知城でね」
「今の自分達の様にいたな」
「そうよ」
「そうだったな、それとだ」
 ここでだ、遠藤は城の周りを見回した、その見晴らしのいい景色の中でだった。
 城の横にある天理教の大きな教会を見てこうも言った。
「いい教会だな」
「あっ、天理教の教会ね」
「この世界でも天理今はあってか」
「起きている世界と同じでね」
「高知城の横にもあるな」
「ええ、あたいは関東の者だけれど」
 それでもとだ、武者小路は言うのだった。
「ああしてね」
「いい教会やお寺や神社があるとか」
「お城の傍でね、それも風情があるわね」
「そうか、正岡も言ってたな」
「あの教会についてはね」
「いい教会だとな」
「じゃあお城の後はね」
 天守閣から降りればというのだ。
「あっちね」
「あそこに行ってみるか」
「そうしましょう」
 こうした話もしてだった、二人は高知城の次はその天理教の教会に入った。そこの神殿で参拝をするつもりだったが。
 教会の中で黒い法被を着た天理教の人だけでなく仏教の僧侶や神社の神主の服を着た者達もいた、その彼等が深刻に話しているのを見て。
 それでだ、遠藤は気になって旅の冒険者と身分を隠して彼等に事情を聞いた。
「どうしました」
「いえ、実はです」
 ノームの法被を着た人が遠藤に話した。
「今市長さんが大変なんです」
「高知市のですか」
「はい、この街の」
 まさにこの街のというのだ。
「市長さんがです」
「大変なことになっているとは」
「どうも何かに憑かれたらしく」
「何か、怨霊ですか」
「どうもその様です」
「いえ、ここは土佐ですからね」 
 今度はエルフの僧侶が言ってきた、あの髪の毛は奇麗に剃っていてない。
「若しかして犬憑きかも知れないですし」
「犬神が憑いていれば」
 鬼の神主はこの魔物の名前を出した。
「また違いますしね」
「怨霊にしても犬神にしても」
 どっちにしてもとだ、遠藤は述べた。
「勝手に憑くものではないですね」
「ええ、何か理由があってよ」
 武者小路の遠藤の横から述べた。
「憑くものよ」
「若しくは憑かせる」
「そう考えるとね」
「何かをして憑かれたか」
 若しくはとだ、遠藤はさらに言った。
「憑かせられたか」
「例えばですね」
 ここで天理教の人が言ってきた、ここで彼はこうも言った。 
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