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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その三十六

「今回義勇軍がもう来てるな」
「ああ、難民のな」
「あの人達も大変だな」
「そうだな、難民でこっちに来てな」
「戦争になると常に最前線だからな」
「連合市民じゃないからな」
 その立場からというのだ。
「給料は高いらしいけれどな」
「常に矢面とか辛いな」
「俺だったら無理だな」
「ちょっとな」
「戦争になんて行けないぜ」
「それで死ぬとか嫌だな」
 こう話してだ、そして。
 彼等の中の一人がだ、こんなことを言った。
「そういえばあっちの人達って豚肉食わないよな」
「ああ、内蔵も食わないぜ」
 別の者が言った。
「そっちの方もな」
「内蔵食わないって嫌だな」
「そうだよな、美味いのにな」
「俺内蔵食うぜ、ムスリムでもな」
「俺でもだよ」
 連合ではムスリムでも豚肉を食べるし犬も喜んでペットにしている、アッラーに謝罪を言ってそれでよしとされるのだ。
「内蔵美味いのにな」
「羊のもな」
「豚だってな」
 豚肉も食べるからこその言葉だ。
「牛は言うまでもなくて」
「魚の内蔵も美味いんだよ」
「そうそう、鰻の肝もな」
「あれもいいんだけれどな」
「あっちの人食わないか」
「残念だな」
「損してるぜ」
「損か」
 曹長はその話を聞いて呟いた、そしてカウンターの席に座っているのでカウンターの中にいる店の親父にこう尋ねた。
「俺実は義勇軍だけれどな」
「あっ、そうですか」
「あの兄ちゃん達の話を聞いてるとな」
 親父にビジネスマン達の方を見つつ言うのだった。
「期待されてるんだな」
「強いですからね」
「だからか」
「はい、義勇軍は」
 それでとだ、親父は曹長に答えた。
「何といっても」
「難民なのにかい?」
「難民でもですよ」
 それこそという返事だった。
「強いですから」
「頼りにしてくれてるんだな」
「はい」  
 実際にという返事だった。
「こちらも」
「そうなんだな」
「やっぱり強い軍隊がいますと」
 それだけでとだ、親父も曹長に言う。
「有り難いですよ」
「そうしたものか」
「まああれですね?」
「あれ?」
「そりゃ連合の人間じゃないですよ」 
 親父もこのことをわかっていて言う。
「実際に、サハラの人間ですから」
「まあそれはな」
「それでどうこう言われますよね」
「ああ、何かとな」
 実際にとだ、曹長も答えて言う。
「表立って言われることはあまりなくてもな」
「裏ではですね」
「ネットとかでな」
 掲示板での書き込み等だ、動画でも書き込まれることがある。ネットはそうした人間の悪意が書かれる場所でもあるのだ。 
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