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レーヴァティン

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第九十一話 商人達の会合その六

「だからだ」
「そっちには力注がず」
「街のことにそうしてくれますか」
「大坂の街と人の為にですか」
「励んでくれますか」
「それだけだ」
 大店の者達にもこう言う、そしてだった。
 彼は寄り合いの中でも次第にそれも急激に立場をよくしていったがそのことには喜ばずに仲間達に言った。
「大坂で終わりでない」
「だからだな」
「今の橋等をかけたり直すのもな」
「人気取りではあるがな」
「政だ」
 それだというのだ。
「政としての動きだ」
「大坂をよりよい街にしてか」
「そしてだ」
「その街の力でか」
「この島の統一に乗り出す」
 政で整えよりよくなった大坂の力を使ってというのだ。
「そうする」
「だからだな」
「かなりの銭を使っているが」
 商売で儲けている幸正に話す、今からは自分から幸正のいる船の中に入ってそこで二人で話をしているのだ。
「惜しくはない」
「銭は使うべきか」
「こうした時こそな」
 まさにというのだ。
「だからだ」
「遠慮なく使うか」
「そしてだ」
 英雄はさらに言った。
「使った銭の分はな」
「また手に入れるか」
「それだけだ」
 惜しむ、そうしたことは一切ない言葉だった。
「ただな」
「だからいいか」
「そうだ、それでだ」
「我はだな」
「儲けてくれ」
 当季がそうしている様にというのだ。
「いいな」
「ではな」
「そしてだ」
 さらに話す英雄だった。
「今のままでいくと近いな」
「寄り合いの首座にだな」
「就ける、そして町人達もな」
 彼等もというのだ。
「支持してくれている」
「今では大坂に知らない奴はいない」
「そしてどう知らないのか」
「いい意味でだ」
「俺達は大坂の為にいいことをしている」
「そしてこの世界を救うと言われていることもな」
 幸正は予言のことも話した。
「言われている」
「特に言わなかったがな、このことは」
「言わなくても漏れるものは漏れる」
 幸正は英雄に淡々とした声で述べた。
「世の中は隙間のある桶だからな」
「話は自然にか」
 英雄は話を水として述べた、桶が世の中とすれば話はその中に入る水になると考えて述べたのである。
「その隙間から出てか」
「広まるものだ」
「だからか」
「我等のその目的のこともな」
「大坂ではもうか」
「言われている、確かな証拠はないがな」
「言わなかったが秘密にもしなかった」
 英雄は幸正の言葉を聞いてこう述べた。
「そのせいだな」
「そしてこの話も我等の評判を高めている」
「この世界を救ってくれるのならか」
「そう願ってな、今この世界にあるのは二つの島だけだ」
 今自分達がいる東の島、そして久志達がいる西の島だ。その下には果てしなく広がっている広大な海があるだけだ。 
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