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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その二十二

「世論は存在しているが」
「それでもですね」
「サハラは戦乱の中にある」
「だから兵器の開発についても」
「犠牲が出てもな」
「それは仕方ないとなりますね」
「そうだ、連合とは違う」 
 戦乱の中に常に置かれている世界だったからだ。
「そこはな」
「ですから民主政治でも」
「そうだ、サハラではいい」
「そこが本当に違いますね」
「羨ましいか」
「そうは思いませんが」 
 アッチャラーンの思わせぶりな笑みにだ、八条は冷静な声で返した。
「その国それぞれの事情なので」
「兵器の開発についてもか」
「羨んでも何もなりません」
「ではか」
「はい、連合には連合の事情があります」
「その事情の中でやっていくか」
「そうするべきなので」
 だからこそというのだ。
「ですから」
「羨みはしないか」
「連合の中で出来るだけしていきます」
 八条は嫉妬の感情は薄い、それでこの場合もサハラを羨むことはしないのだ。それで今もこう考えているのだ。
「その様にしていきます」
「そうか、では潜水艦の開発はか」
「出来る限りです」
 まさにというのだ。
「犠牲を出さない様に配慮しました」
「そうか」
「はい、そのうえで予算が入りましたら」
 その時にというのだ。
「動きます」
「そうするか」
「その予定です」
「しかしサハラはだな」
「特別予算を組んででもです」
 それでもというのだ。
「予算を確保するでしょう」
「こと軍事のことだからだな」
「あの国は戦争に勝ってこそです」
 さもなければ国が滅ぶのだ、戦乱の中にある国が戦争に負けてはそうなってしまうことが当然のことである。
「ですから予算もです」
「それもだな」
「国家元首の権限で出来ます」 
 サハラにおいてはだ。
「それもまた」
「オムダーマンもだな」
「議会の承認が必要ですが」
 それでもというのだ。
「あの国もです」
「大統領にそれだけの権限はあるな」
「そうです、ティムールなら尚更です」
 この国もだ、むしろティムールはオムダーマンよりも国家元首である主席の権限が強く独裁と言ってもいい位である。
「そうしたことは可能です」
「そうなるな」
「そうです、軍事費もです」
 それもというのだ。
「特別に編成出来ます」
「それが可能だな」
「連合とは違います」 
 連合では軍事費については特別予算の編成はこの千年の間なかった、八条もそのことから言うのである。
「そこは」
「全く以てだな」
「そうです」
 まさにというのだ。
「ですから」
「それでだな」
「私はその様に考えています」
「来年度から本格的に動くか」
「潜水艦については」
「では潜水艦の開発はだ」
 アッチャラーンも言った。
「オムダーマンが先に動くか」
「そうなるかと、そして」
「さらにか」
「はい、気になることはです」
「オムダーマンだけかというと」
「ティムールもか」
「連合はオムダーマンの情報を手に入れましたが」
 しかしというのだ。
「それは我々だけかといいますと」
「そうとは限らないな」
「はい、ティムールです」
 この国もというのだ。 
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