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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その二十一

「生存確率は低いです」
「どうしてもそうなるな」
「しかしサハラはそれでもです」
「そうしたことがあってもだな」
「開発するでしょう」
「新兵器ならばだな」
「戦争に勝つ為には」
 この目的があるからというのだ。
「あえてです」
「危険も無視してだな」
「挑むでしょう」
「かつて潜水艦の開発には多くの犠牲が出たな」
「はい」
 海中に潜りそのまま潜行する、この場合深く潜り過ぎ艦が水圧で潰れるか浮上出来なくなり艦内の酸素が尽きて乗組員達が窒息死するかだ。
「実際にかなりの」
「貴国でもそうだったな」
「佐久間艇長ですね」
 八条はすぐに答えた。
「あの人の話ですね」
「そうだ、乗組員全員が犠牲になったが」
 その中で酸素が尽き全員死んだがだ。
「しかしだったな」
「それぞれの持ち場にいたまま死んでいました」
「全員な」
「艇長はそのうえで文章を残していました」
「その様なこともあったな」
「かつて潜水艦の開発には多くの犠牲が出てそれも覚悟のうえでしたが」
「サハラも同じか」
 アッチャラーンはまた言った。
「そうなるか」
「犠牲が出てもそれが有益な兵器ならば」
「開発すべきだな」
「それが軍事でありです」
「戦争だな」
「まさに」
 その通りだとだ、八条も答えた。
「ですから」
「特に戦争が間近にある場合はか」
「多少の犠牲を払ってもです」
「その兵器を開発し実用化する」
「勝利の為に」
「そうなるな」
「我々はです」 
 連合、彼等の国はというと。
「どうしてもです」
「それはだな」
「はい、出来ません」
「犠牲が出るとなるとな」
「どうしてもです」
「市民から反対意見が出る」
 民主主義国家である連合だからだ。
「そしてだ」
「最悪の場合は、ですね」
「開発は中止だ」
「そうなりますね」
「新兵器も開発中に犠牲が出るとな」
「その時点で危険な兵器と判断されますね」
「そうした判断をする市民もいるからな」
 その兵器自体に悪感情を持っていたり騒がしいクレーマーであったりするがそれが世論にもなるのが民主主義なのだ。
「だからだ」
「その際の犠牲者はですね」
「出せないからな」
「はい、ですから」
「新兵器の開発も慎重でなければならない」 
 即ち犠牲者が出てはいけないのだ。
「どうしてもな」
「その通りです、ですがサハラは」
 この国はというと。
「民主主義の国もありますが」
「そうだな」
 オムダーマンにしてもそうだしティムールも確かに主席であるシャイターンの権限がかなり大きいが民主政治ではある。 
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