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徒然草

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119部分:百十九.鎌倉の海に


百十九.鎌倉の海に

百十九.鎌倉の海に
 鎌倉の海にいる鰹という魚はその地においては高級魚として扱われ食べられることが最近流行っています。その鰹も鎌倉に昔から住んでいる長老さんが仰るにはこの魚も自分達が若い頃にはまともな人の食卓に出ることもなかった。昔は本当に頭をゴミを漁ってそれを食べるような人でも切り取ってそして捨てていたと話していました。
 そんな魚でも世も末になれば金持ちの食卓に出されるようになりました。全くもって嘆かわしいことであります。まともな世ならばそんな魚は食べられないのでしょうが今はそんな魚も食べられています。しかもただ食べられているだけではなく持て囃されている始末です。鎌倉は幕府があり将軍様や執権殿がおられるような場所ですが都とは全く異なるのでしょう。しかしそれでもそんな魚が好まれて食べられているというのはやはり嘆かわしいことです。世も末になれば決して持て囃されないようなものが持て囃されるものであります。それが今ということです。考えれば考える程溜息が出てきます。かといっても食べてそれを旨いという人が出てしまっているのもまた現実であります。この現実を否定することはできませんので余計に溜息をついてしまいます。食べるものでもあらゆることがわかってしまうものであります。


鎌倉の海に   完


                  2009・9・10
 
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