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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その十七

「それならばだな」
「連合軍にもですか」
「陰軍はあるか」
「いえ、それはです」
「ないのか」
「そうした発想はないです」
「国防の上ではか」
 アッチャラーンも言った。
「そうなのか」
「はい、ただ戦術面では考えています」
「陰軍をか」
「今現在出来るかどうか」
「ではその陰軍はか」
「どうしたら出来るのか」
「戦略では見せて戦術では隠すか」
 いささか鋭い目になってだ、アッチャラーンは言った。
「成程な」
「戦略でもした方がいいですか」
「どうも君のやり方はあえて見せることが多いな」
「確かにそうですね」
 八条も否定せずにアッチャラーンに答えた。
「私の戦略は」
「政治においてもそうだな」
「よく正攻法しかないと言われますが」
「隠すことは確かにしないな」
「そうですね、カードをしてもです」
 トランプのそれだ、ポーカーでもだ。
「オーソドックスであり」
「それに徹しているか」
「そう言われていますし」
 実際にやってみてというのだ、周囲からそう言われるというのだ。
「どうにも」
「ではだな」
「はい、私は隠すこともですか」
「時として必要だと思う」
「そうですか」
「君は政策は見事だが策略を使うタイプではない」 
 ただ情報収集及び分析能力は相当なものだ。
「そして隠すこともな」
「それは出来ていないですか」
「それが出来ればな」
「色々といいですか」
「そう思う」
 これがアッチャラーンの返事だった。
「よりな」
「そうですか」
「戦術でも陰もあるとだ」
「手数も増えますね」
「だからいい」
 あるには越したことはないというのだ。
「それだけで」
「そうなりますか、では」
「陰もな」
「必要ですね」
「政治にもな、しかし君は政治家としてはだ」
 八条の政治家としてのタイプを見つつ言う。
「どうもな」
「陽ですか」
「そちらに強い」
 それも相当に、という言葉だった。
「だからそれは無理だろう、しかし戦術を考えるとな」
「軍事のですね」
「陰も考えていることはだ」
「いいことですか」
「かなりな、ならだ」
「それならですね」
「是非だ」 
 まさにというのだ。
「使うことだ」
「その陰をですね」
「そうだ、それを使うとな」
 それでというのだ。
「幅が増えるからな」
「その通りですね」
「見えない軍勢も強いな」
「相手の意表を衝けますので、それで考えているのは」
「どういった戦術だ」
「潜水艦です」 
 それだとだ、八条はアッチャラーンに答えた。
「潜水艦を考えています」
「潜水艦というと」
「はい、二十世紀から海で活躍した」
「海中から敵を襲うだな」
「あの艦艇ですが」
「それを考えているか」
「隠れるとなりますと」
 潜水艦、それになるというのだ。 
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