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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その十六

「それはな」
「はい、しかしです」
「それはだな」
「普通に考えて相手を招き寄せるだけです」
「相手にいらぬ野心を抱かせる」
「そうなりますので」
 それ故にとだ、八条はアッチャラーンに連合全体の国防を担う責任者として話した。
「ですから」
「万里の長城を置くのだな」
「そう考えています」
「そういうことだな」
「まずは守りです」
 何といってもというのだ。
「強力なそれを相手の前に置きます」
「そして巨大な軍隊もだな」
「攻めれば厄介なことになることを見せます」
 それも大いにというのだ。
「そうしますので」
「サハラに対してもか」
「同盟国ですがマウリアにも見せていますね」 
「国境にな」
「はい、そうしてです」
「マウリアにも備えているか」
「同時に警察も常駐しています」
 連合中央警察だ、連合各国ではなく全土に権限を持つ警察である。
「犯罪者の脱出にも備えています」
「サハラとの国境もそれは同じだな」
「はい」
 その通りという返事だった。
「あちらにも警察が常駐しています」
「犯罪者は逃がさない」
「そういうことですね」
「まさにだな、いいことだ」
「エウロパとの境には警察は常駐していませんが」
「エウロパへの備えがだな」
「最も重厚です」
 サハラ、マウリアに対するものよりもというのだ。
「まだ」
「そうだな」
「そしてです」
 さらに言った八条だった。
「その備えはです」
「ガンタース要塞群にだな」
「マラッカ回廊にも要塞を置き」
「敵から要塞を奪いな」
「アタチュルク要塞群にしました」
 ニーベルング要塞を連合軍の力を入れてそのうえで以前とは比べものにならないまでに堅固なものにしたのだ。
「そうしました」
「そうだな」
「これで、です」
「エウロパは攻められないな」
「攻められないだけの力を見せています」
「敵には攻めさせない」
「圧倒的な力を見せることです」
 総力で攻めても負けられないまでのというのだ。
「それが国防です」
「見せるものは見せる」
「そうです」
「そしてエウロパにも妙な気を起こさせないか」
「それがいいです」
 こう言ったのだった。
「私はそう考えています」
「陽軍か」
「そうです、あえて敵に力を見せてです」
「相手を攻めさせないか」
「そうした軍隊です」
「しかし陽軍だけか」
 あえてだ、アッチャラーンは八条に問い返した。
「それは」
「備えはですか」
「陽とくればな」
「陰ですね」
「陰陽は必ずある」
 陰陽五行説、中国にあるこの思想はこの時代でも残っていて連合全体にも普及している考えである。 
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