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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その十二

「大統領はそうも考えておられる」
「そうなのですか」
「財務大臣なり内務大臣なりな」 
 そうした国防長官より重要な役職にというのだ。
「就いてもらうかも知れない、少なくともな」
「少なくともといいますと」
「大統領は君を中央政府に留まってもらうつもりだ」
「中央政府にですか」
「そうだ、日本に戻ってもらうつもりはだ」
 それはというのだ。
「大統領にはない」
「私は中央政府にいてですか」
「大統領が現職におられる間はな」
 そう考えているというのだ、キロモトは。
「国防長官の他の閣僚に就いてもらうかも知れない」
「わかりました、ではその時は」
「また頼む」
「わかりました」
「そしてだが」
 アッチャラーンはさらに話した。
「君は伊東首相からだ」
「総理からですか」
「将来を期待されているそうだな」
「そう言われていることは聞いていますが」
「それでだが」
「はい、日本の首相ですか」
「そう考えられているそうだが」
 こう八条に尋ねるのだった。
「君にそのつもりはあるか」
「いえ、首相となりますと」
 日本のだ、それはというと。
 八条は少し考える顔になりだ、こうアッチャラーンに答えた。
「私なぞではです」
「務まらないか」
「そう考えています」
「ではか」
「はい、あまりです」
 どうにもという返事だった。
「私は」
「そうか、それに君はまだ独身だったな」
「そのこともですか」
「何とかしないとな」
「自分でもわかっていますが」
 その話になるとだ、八条は困った顔になった。実は彼にしてもこの問題は悩んでいるそれもかなりそうなっていることなのだ。
「ですが」
「それでもか」
「はい、相手がです」
「それが信じられない」
 アッチャラーンは八条の実に整った顔を見て言った。
「とてもな」
「そうなのですか、ですが」
「君は女性には縁がない」
「はい」
 自分で思っていることを言う。
「どうにも」
「だからですか」
「はい、私はです」
「結婚はか」
「中々出来ません」
 そうだというのだ。
「縁がありません」
「女性自体にか」
「昔から全くもてなくて」
「その顔でか」
「顔は関係がないのでは」
「そういうものか」
「私はどうにもです」
 また言った八条だった。
「縁がありません」
「近くを落ち着いて見ればどうか」 
 かなり真剣にだ、アッチャラーンは八条にアドバイスをした。
「少しでもな」
「そうすればいいのですか」
「違うと思う」
 八条が自分で思っている女性に縁がないということはというのだ。
「間違いなくな」
「だといいのですが」
「とにかくだ」
 また言ったアッチャラーンだった。
「君は女性に縁がある、そしてだ」
「結婚もですか」
「間違いなく出来る」
 それはというのだ。 
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