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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その十

 アッチャラーンは八条にだ、こうも言った。
「国防費だが」
「問題ないかですね」
「今回の作戦の予算の確保はよく出来たな」
「何とか」
 出来たとだ、八条も答える。
「出来ました」
「超々巨大戦艦の開発、建造も行ったな」
「はい」
「そしてか」
「今回の作戦もですが」
「予算は確保出来たか」
「そうでした」
「しかしもうぎりぎりだな」
 アッチャラーンはその目を鋭くさせて八条に問うた。
「国防費は」
「はい、これ以上はです」
 実際にというのだ。
「もうありません」
「やはりそうか」
「後は軍の維持で、です」
「精一杯だな」
「そうした状況です」
「そうだな、むしろだ」
 八条の説明を聞いてだ、アッチャラーンも頷いた。
「ここまでよく出来た」
「作戦までですか」
「中央軍は戦役から何かとあった」
 もっと言えば新型の艦艇を中心とした兵器の開発製造からだ。
「マウリア、サハラとの国境の防衛ラインも施設したしな」
「それにですね」
「今回の作戦もありな」
「そして超々巨大戦艦もですね」
「これだけのことをしてな」
 予算がもっているということはというのだ。
「驚くべきことだ」
「まだ日本軍の時よりはです」
「予算運営が楽か」
「むしろです」
「連合は国防の優先順位が低い」
 それも相当にだ、このことは中央政府だけでなく各国政府でもだ。中央政府に国防省が存在しなかった頃からこのことは変わっていない。
「どの国も予算は総生産の一パーセント台でだ」
「中央政府もですね」
「そうした状況だ」
 やはり国防予算は中央政府の予算の中で僅かなのだ。
「中央政府の予算全体の精々三パーセントだ」
「そんなものですね」
「そうだ、しかしだ」
「その予算をですね」
「よく運営出来るものだ」
「そう言われますか」
「実にな、だがそれも限界なのだな」
 ここでまた言ったアッチャラーンだった。
「長官でも運営は」
「はい、もうです」
「予算がないか」
「維持だけで精一杯です」
「わかった、どちらにしても今年度大きなことはない」
 国防省が行うそれはというのだ。
「ではな」
「それではですね」
「以後はそれでいい、しかし国防費は今後もだ」
「増えることはないですね」
「連合の驚異が現れない限りはな」
 到底というのだ。
「予算は増えない」
「そういうことですね」
「だからだ、その驚異もな」
「すぐにはですね」
「出る気配はない」
「他の知的生命体もです」
「少なくとも外縁部のわかっている範囲でもいない」
 今回領土にする範囲のさらに先までも調査艇を出しているがだ。
「だからな」
「知的生命体についてはです」
「いないのではな」
「驚異とも認識出来ない」
「そうなるな、そして」
「エウロパもですね」
 八条はこの国の名前を出した。
「あの国はです」
「今はだな」
「はい、復興途上で」
「これからはわからないが」
「当面はだ」
 少なくとも数十年の間はというのだ。
「敵にならないな」
「はい、驚異とまではです」
「深刻なな」
「それには至りません」
「だから国防費はだ」
 まさにというのだ。 
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