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許されない罪、救われる心

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83部分:第七話 地獄のはじまりその十


第七話 地獄のはじまりその十

「誰がやったのよ・・・・・・」
「いじめてたから?」
 四人はそう考えを至らせた。
「それでこんな」
「誰かが」
「椎葉じゃねえよな」
 長月は本能的に彼女の可能性を否定した。
「これってやっぱりよ」
「うん、違うわ」
 それに如月が答えた。
「あいつこんなことしないから」
「じゃあ誰よ」
「誰がやったのよ、ここまで」
「ひょっとしたら」
 そしてであった。如月は文月と霜月の言葉に応えてだ。あの男のことを脳裏に思い浮かべた。そうしてそのうえで三人に答えたのだった。
「岩清水かも」
「あいつが」
「こんなことを」
「おい、じゃあどうするんだよ」
 長月がここでまた言った。
「こんなことされたらよ」
「けれど。今何かしたら」
「特にあいつには」
 しかしであった。皆わかっていた。ここで自分達が何かを、それも特に岩清水に何かをすればだ。その時はさらに酷いことになることがわかっていたのだ。
「そうよね、だから」
「何もできない・・・・・・」
「このまま」
「うん、今は何もできないよ」
 このことを言う如月だった。
「だから今はね」
「我慢するしかないのね」
「こんなことされても」
 文月と霜月が苦く沈んだ顔で呟くようにして言った。
「どうしようもないって」
「そうなのね、今は」
「じゃあこの靴のことはどうしようもないんだな」 
 長月もこのことを認めるしかなかった。
「それでこれからもこんなことが続いても」
「うん、今はどうしようもないから」
 如月はまた言った。
「耐えよう、終わるまで」
「終わって欲しいよ、もう」
「こんな状況・・・・・・」
 四人は焼却炉の前のその無惨な燃えカスを見て落胆するしかなかった。しかしである。四人への攻撃はこれで終わりではなかった。
 教室に行けば机も椅子もロッカーもだ。滅茶苦茶に落書きされあちこちが壊され黒板には彼女達を誹謗中傷することが一面に書かれていた。そうして四人のいる場所にゴミ箱がそのままぶちまけられていた。
 そしてクラスメイト達はだ。それを一切無視していた。そして四人が自分達のところに行くとだ。
「いじめには報いだ!」
 待っていたとばかりに岩清水が叫んだ。
「報いがあって当然だ!」
「ああ、そうだよ」
「そうよね」
「椎葉さんにやってきたんだからね」
「同じ報い受けないとね」
「いじめを許すな!」
 また叫ぶ岩清水だった。
「絶対にだ!」
「ほら、自分で何とかしろよ」
「汚れてるでしょ」
「ちゃんとしなさいよ」
 そしてであった。クラスメイト達の冷たい言葉がぶつけられる。
「御前等が今までやってきたんだからな」
「今度はあんた達がしないよ」
「早くしないと授業がはじまるだろ」
 こう言って一切何もしようとしない。弥生も顔を背けている。
 四人は仕方なくまずは黒板を消そうとした。しかしだった。
 黒板消しがなかった。そのことに戸惑ってしまった。
「えっ・・・・・・」
「ないって・・・・・・」
「そんな・・・・・・」
「ほら、貸してやるよ!」
「使いなさいよ!」
 ここで黒板消しが投げ付けられた。同時にゴミもだ。
 
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