| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

許されない罪、救われる心

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

82部分:第七話 地獄のはじまりその九


第七話 地獄のはじまりその九

「それをすれば彼女等と同じになります」
「けれどじゃあどうするんだ?」
「ここは」
「この連中どうするんだ?」
「暴力は許されません」
 またこう言う岩清水だった。
「ですがいじめもまた許されません」
「この連中は許されないんだろ?」
「それじゃあどうするのよ」
「この連中は」
「暴力を振るわなければいいのです」
 これが岩清水の言葉だった。策略でもある。
「そう、暴力はです」
「よし、それならだ」
「言葉だ!」
「ああ、言葉だ!」
「言葉がある!」
 岩清水はここまで誘導したのだ。彼はあえてそれを出さずにだ。通行人達に言葉での糾弾を選ばせた。そうしてそのうえで、であった。
「いじめっ子に報いを!」
「報いを!」
「どっかに消えろ!」
「学校辞めろ!」
「死ね!」
 四人を完全に取り囲んでだ。そのうえで指差してそうして責める。
「いじめを許すな!」
「いじめっ子を許すな!」
「容赦するな!」
 四人は固まり身動き一つできなかった。ただ四人で身を寄り添え合ってそのうえで蒼白になった顔で立っているだけだった。何もできなかった。
 岩清水は次の日もだった。朝は学校の校門で、そして放課後は駅前でだ。四人の写真は顔まで出してである。そのうえで訴え続けていた。
 それによって四人は学校でも外でもだった。名前も過去も知られ糾弾されていった。部活も辞めさせられ完全に孤立した。
「まだ学校に来てるのかよ」
「もう辞めろよ」
「退学しろよ」
 わざわざ他のクラスから来てだ。四人に憎しみを向ける者までいた。
「いても仕方ないからな」
「そうよね、よく来られるわよね」
「無神経にも程があるわ」
 わざと四人に聞こえるように言う。それは次第にエスカレートしていった。
 そうしてだ。如月の下駄箱がだ。
 滅茶苦茶に荒らされていた。扉は完全に破壊され床に落ちていた。そしてその扉も中も落書きだらけでゴミが詰められてだ。靴は何処にもなかった。
「靴、私の靴が・・・・・・」
「うちのもだよ」
「私のも」
「私の靴も」
 そしてそれは他の三人も同じだった。靴がなくなっていたのだ。
「何処にあるんだよ」
「誰か隠したの?」
「まさか」
「若しかして」
 ここでだった。如月がふと察したのである。
「ある場所は」
「えっ、何処だよ」
「何処なの?」
 長月と文月が如月に問う。
「何処にあるんだよ、うち等の靴」
「一体」
「焼却場じゃないかしら」
 そこではないかというのである。
「そこに捨てられてるのかも」
「えっ、じゃあ早く行こう」
 如月のその言葉を受けてだった。霜月が蒼白になりながらも驚いた顔で言った。
「早く行かないと燃やされるわよ」
「あ、ああ」
「それじゃあ」
 こうして四人で行くとだった。そこにはもう。
「そんな・・・・・・」
「もう・・・・・・」
 四人が見たものは焼却炉の前で黒焦げになっている自分達の靴だった。何と焼却炉の前にその焼けてしまったものが置かれていたのだ。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧