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星河の覇皇

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第七十部第一章 外縁部の賊その一

                 外縁部の賊 
 連合の国境の外縁部には実に様々な勢力が入り組んで存在している。その中には平和的な大小ノコミュニティも存在しているが。
 当然ながら海賊やテロリスト、マフィア等も存在している。彼等が連合の辺境を襲うことが今回の辺境の治安回復作戦を行う理由でもある。
 その不法な犯罪勢力の中でも特に大きな勢力が田一家である、数も装備も外縁部の海賊達の中でとりわけ多く良質で外縁部の平和なコミュニティや連合辺境の商船等を襲い恐れられている。 
 彼等はある小惑星を根城としているが惑星の中でだ、一家の面々は強い酒を飲みながら休息を取っていた。
 見ればどの者も柄が悪い顔をしていて服装も普通ではない、何処かの核戦争後の世界でバイクに乗っている様な身なりだ。
 その彼等が酒を飲みつつだ、こんなことを話していた。
「最近辺境は駄目だな」
「ああ、連合本土の方はな」
「商船襲おうにも絶対連合軍がいるからな」
「連中は強いからな」
「連合なら何処にも行けるしな」
 それこそ各国の国境を越えてだ。
「国境の外まで追いかけてきやがる」
「しかも装備がこれまでとは段違いときた」
「足は遅いけれどな」
 しかしというのだ。
「あいつ等強いからな」
「連合に入りにくくなったな」
「だから最近はそこいらの星襲ってるが」
「そっちは身入り少ないからな」
「やっぱり連合本土の方がいいな」
 辺境でも確かな経済圏の中にあるからだ。
「そっちの方がものがいい」
「資源も家畜もな」
「女だって垢抜けてる」
「だからあえて行っていたがな」
「やっぱりそこいらの連中は駄目だな」
「連合の外はな」
「山の中で世捨て人みたいに暮らしてる奴もいる」
「そんな連中何も持ってないからな」
 奪うべき何者もだ。
「全く、連合軍が出来てから辛いな」
「連中が来たら下手に手出し出来ないぜ」
「何とかならんもんか」
「海賊稼業も辛気臭いぜ」
「嫌な世の中になったものだ」
 こうした話をしていた、そしてだった。
 彼等はそのままくだを巻いて飲み続けていたがだ、そこにだ。
 背は連合ではあまり高くないが嫌な鋭さを持った目の男が来た、猿の様な顔で髪は短く刈り込んでいる。髪の左右は特にだ。
 その彼がだ、男達に言った。
「おい、何言うてるんじゃ」
「あっ、亀陽さん」
「どうしてここに」
「どうしてもないわ、辛気臭い話すんなや」
 その男田亀陽はこう彼等に言った、この海賊達田一家の次男でありボスの第二の側近とも言える人物だ。
「酒もまずいやろ」
「はい、まあ」
「こうして飲んでますと」
「どうも暗いですね」
「正直酒もまずいです」
「酒は女抱きながらや」 
 そのうえでと言うのだ。
「飲まんかい、わしみたいにな」
「じゃあ亀陽さんはさっきまでですか」
「女とやりながら飲んでたんですか」
「そうしてたんですね」
「そや、この前さらってきた八歳の女の子おったやろ」
 亀陽は悪びれずに言う。
「その娘の首絞めながらな」
「ああ、いつも通りですね」
「亀陽さんそれ好きですからね」
「女の首絞めながらやる」
「それが」
「そうしてやるのが一番気持ちええんや」
 亀陽は男達が囲んでいるテーブルから干し肉を取って言った。 
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