星河の覇皇
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第六十九部第五章 分権派の警戒その二十一
「中央政府の権限は程々でいい」
「これ以上はですね」
「拡大されては困る」
「その様に」
「だから今回は中央政府を止めねばならないが」
「逆にアメリカや中国と下手に揉めますと」
「それどころではなくなるからな」
「今回は彼等に求めるものを用意してでしたか」
その米中が仕切りたがる範囲をだ、あらかじめだ。
「その四国でと考えていたが」
「ブラジルとトルコが入りますと」
「彼等のその数も脅かしかねないしな」
「しかし今回は決まりましたね」
「そうだ、六国でやるとな」
「では仕切る区域は」
「分けよう、もっともあの首相はな」
伊東のことを再びソトニコワに話した。
「そこも考えているだろう」
「既にですね」
「常に先の先を読む」
それが伊東の真骨頂だ、伊東は広くそこまで読んでそのうえで手を打っていくのだ。そこに一流の政治家の洞察があるのだ。
それでだ、こう言ったのだ。
「既にだろう、九尾の狐はな」
「賢明ですね」
「ここでも思った、彼女は連合にいてよかった」
せめて、というのだ。
「エウロパにいてはどうにもならなかった」
「連合にいれば味方になる場合もありますが」
「エウロパにいれば常に敵だ」
そうなるからというのだ。
「完全な敵より時には味方になる方がな」
「遥かにいいですね」
「そうだ、完全な敵だったらな」
「考えるだけで恐ろしいですね」
「国力で圧倒していてもな」
連合の方がだ、人口でも総生産でもだ。
「優れた人材は敵にいないに限る」
「有能な敵は、ですね」
「しかも有能極まる敵はな」
ただ有能な敵以上にというのだ。
「厄介だからな」
「その通りですね、しかし話はこれで新たな段階に入りましたね」
「各国をどうまとめてだ」
「それからはですね」
「同中央政府に対するかだ」
「そうした話になりますね」
「話は長い」
中央政府と各国政府の衝突、この政治的問題はというのだ。
「だからな」
「慎重かつ確実にですね」
「進めていこう、ここはな」
「わかりました、では今後は六国と密接に連絡を取っていきましょう」
「トルコ、ブラジルともな」
この両国ともというのだ。
「同じだ」
「そうしていきますか」
「そうする、これからは」
「そうですか」
「あの首相の言葉に乗るのもいい」
「それがロシアの国益になるのなら」
「大事なのは中央政府を止めることだ」
あくまでというのだ。
「それならばだ」
「日本にしてやられてもですか」
「いい、しかもしてやられた分はもらった」
その開拓への資金援助のことだ。
「ならいい」
「そうなりますね」
「殴った分は薬を出す」
「そして恨まれない」
「そこまですることはあの首相だ」
伊東、彼女だというのだ。
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