| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十九話 大坂に戻りその一

               第八十九話  大坂に戻り
 英雄達は大坂に入った、大坂の街は極めて賑わっていて人も店も多くこれ以上はないまでの繁栄を見せていた。
 その賑わいの中に入ってだ、英雄はすぐに仲間達に言った。
「まずは拠点を構えるか」
「ほなや」
 耕平が英雄のその言葉にすぐに応えた。
「お家っていうかお屋敷をな」
「これから買うか」
「それだけの銭は充分過ぎる程あるしな」
「これまでの冒険でな」
 魔物達を倒して得たものであることは言うまでもない。
「手に入れてるさかいな」
「それで屋敷を買うか」
「大坂やったらええ屋敷もあるやろ」
「豪商の屋敷か」
「そや、店と一緒になってるかも知れんけど」
 一階が店で奥や二階が住む場所になっている、商家のよくある造りだ。
「ええ物件あったらな」
「それを買って住んでだな」
「拠点にすればええんちゃうか」
「そうだな」
 英雄は耕平の言葉をよしとして頷いて応えた。
「まずはそうするか」
「やっぱり拠点がないとな」
「大坂を手に入れにくいな」
「そや、それも大坂にないとや」
 この場合の拠点はというのだ。
「やっぱりな」
「駄目だな」
「そやからまずは屋敷買おうな」
「家を売っている店に行くか」
「そうしよな」
 こう話してだ、一行はまずは家を売り買いしている店を探し見付けるとすぐにその中に入った。そうしてだった。
 一行はある屋敷を紹介してもらった、そこは見事な屋敷で完全に人が暮らすものだった。趣は江戸時代ではなく平安時代の貴族の屋敷を思わせるものだった。
 その屋敷の中に入ってだ、英雄は言った。
「公卿の屋敷の様だな」
「趣はそうじゃのう」
 庭の池、大きく橋がかけられているものを見てだ。当季も述べた。
「和歌とか歌えそうじゃ」
「そうだな」
「大坂にこんな屋敷があるとはのう」
「都のお公家さんの別荘だったそうやが」
 耕平が述べた。
「何でも宇治に別荘を移すらしくてな」
「売り出されていたものだったな」
「それを買ったけれどな」
「いい屋敷だ、しかもだ」
 英雄は庭の木々に石、そして屋敷自体も見ていた。屋敷も非常に整っていて深い趣を感じさせるものだった。
「俺達全員が住んでもな」
「まだ広そうやな」
「そうだな」
「ほなここからな」
「大坂を手に入れていく」
「そうしよな、ほな家も買ったし家具がもうある」
 家の中にそれも全て揃っていた、ただ家の中は畳敷きであり家具も江戸時代のものばかりである。そうしたところは平安時代ではなかった。
「すぐに暮らせるし」
「だからか」
「そや、船で話した通りにな」
「大坂の名物を食うか」
「そうしよか、それで英気を養って」
「動くか」
「そうするで」
 こう話してだ、そのうえで。
 一行は大坂の街に出た、朝に大坂に着いていたが家を買った時間でもう夕方になっていたので夕食になっていた。昼は家を買う間に軽く握り飯を食って済ませていた。
 一行は難波に出てお好み焼きの店に入った、その店にはたこ焼きも焼きそばもありそうしたものも注文し。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧