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星河の覇皇

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第六十九部第五章 分権派の警戒その十八

 伊東の言葉に頷いた、そしてだった。
 彼女の言う通り六国でいくことにした、そのうえで。
 あらためて中央政府に対することにした、その話を決めてから伊東との話を終えた。だがその話の後でだった。
 電話を終えてだ、己の前に政策のことで話をしに来たソトニコワにだった。彼女との政治の話をしてからこう言った。
「やはりあの首相はな」
「狐でしたか」
「君が来る前に話したが」
「結局ですか」
「六国主導でいくことになった」
 伊東の提案通りにというのだ。
「ブラジルとトルコも入れてな」
「またカードを隠していましたか」
「切り札もな、しかもな」
「その切り札は、ですね」
「私がまだ知らなかっただ」
 それは、というのだ。
「我が国に関することだ」
「ロシアのですか」
「ロシアの財界人達はトルコ、ブラジルとより大きなビジネスをしようとしている」
「そうなのですか」
「それをしようと動こうとな」
「していることをですか」
「話の後で今調べたらだ」
 大統領である彼のルートでだ。
「そうすればだ」
「それで、ですね」
「その通りだった、だがまだ一歩というどころかな」
「半歩」
「考えているところだった」
 その半歩を踏み出そうとだ。
「調べて驚いた、その兆候をだ」
「日本にいてもう掴んでいたのですか」
「相変わらず耳がいい」
「連合の至る情報を集めていますね」
「ロシアの情報もかなりだ」
 その国家元首であるグリーニスキーが知られるものもだ。
「それはな、しかしな」
「あの首相殿はですね」
「あそこまではな」  
 到底という言葉だった。
「イスラエルの長老達ですらな」
「すぐにはですね」
「知ることは出来ない」
 そうしたレベルだというのだ、連合において恐ろしいまでの隠然たる力を持っている影のバランサー達でもである。
「中々な」
「しかしあの首相殿はですね」
「既に知っていてだ」
「そのうえで、ですか」
「その話を出してきてだ」
「要求を飲ませたのですね」
「しかも開拓地への資金援助まで申し出てな」
「見返りもしてきたと」
「これではやり返すことも出来ない」
 苦い顔でだ、こうも言ったグリーニスキーだった。
「感情的にもな」
「そうしたことも見据えてですね」
「仕掛けて来る、相変わらず食えない御仁だ」
 この時代では御仁という言葉は女性に対しても使う様になっている。これもまた男女同権という考えからくる言葉だ。
「だからだ」
「今回もですね」
「これで終わった、相手を制するが」
「それでもその相手に見返りも出す」
「常にそうするからだ」
 だからこそというのだ。
「恨みにも思えない」
「そうした方ですね」
「食えない御仁だ、そういう意味でもな」
「人間としてですね」
「恨めない、もっと言えば恨みを買わない様に動いている」
「それが伊東首相ですね」
「全くだ、中々食えない」
 グリーニスキーは決してだ、伊東を嫌ってはいない。それでだった。
 彼女については狐と言いながらも褒めてだ、こう言ったのだった。
「では我々は今はだ」
「日本の案を受けて」
「六国主導でいこう、元々この話はただの主導権争いだけだ」
 それに過ぎなかったというのだ。 
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