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八条学園騒動記

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第四百九十八話 朝風呂でその十三

「糖尿病も完治する様になったし」
「他の難病だってそうね」
「そう、これまで色々な病気を克服してきて」
「伝染病もそうだから」
「医学は凄いわ」
 人類が持っているそれはというのだ。
「だからよ」
「人類は病気には負けないのね」
「世の中に絶対は神様仏様だけでしょ」
 連合でよく言われる言葉だ、連合だけでなくこの時代では宗教は人類にとって二十世紀よりも重要な位置にある。
「それならよ」
「病気にも絶対はなくて」
「若し絶対があるなら」
 病気についてとだ、プリシラは述べた。
「絶対に治せない病気はない」
「それが絶対なのね」
「ええ、病気にとっては」
「だから色々な伝染病もワクチンが開発されて」
「ゾンビウィルスもよ」
「開発出来るのね」
「絶対に。だからゾンビは」
 映画の彼等はというと。
「少し落ち着いたら怖くないわ」
「まあパニック状態になるからね」
 突然の思わぬ事態にだ、これがゾンビ映画の恐怖の中心だ。
「どの映画でも大騒ぎになるのよね」
「ゲームでもね」
「けれど落ち着いたら」
「そう、ワクチンを開発して」
「あと燃やしたら」
「人間の身体は燃えるし」
「ゾンビもね」
 要するに腐った死体だ、しかも魂のない。
「まさに汚物は消毒よ」
「じゃあ火炎放射器なんかは」
 ジュディは汚物は消毒という言葉からすぐにこの言葉を思い出した、某世紀末救世主を主人公としたこの時代でも人気のシリーズだ。
「有効ね」
「ええ、何ならナパーム弾で空爆したら」
「イチコロね」
「所詮は死体だから」
「燃やせば終わりね」
「骨があったらスケルトンになるかも知れないけれど」
 別のアンデットモンスターになる可能性もあるというのだ。
「けれどね」
「燃やしてもいいわよね」
「ドラゴンを倒すよりも」
 プリシラはRPG、ゾンビが雑魚であるそのジャンルから話した。
「遥かに楽よ」
「そりゃドラゴンはどのゲームでも強敵だし」
 強敵の代名詞と言ってもいい。
「それと比べたら」
「ゾンビはね」
「楽な相手よね」
「ええ、遥かにね」
 ドラゴンと比べてというのだ。
「本当にね」
「そんなに怖がる必要ないってことね」
「落ち着いて。それで数に注意したら」
「それだけよね」
「本当に何もね」
 一切と言うのだった。
「怖くないわ」
「そんなものよね」
「所詮はね。もうそれこそ二日酔いになった人レベルよ」
「ゾンビの戦闘力は」
「強い筈がないわ」
「さっきまでの私達みたいなものね」
 ジュディもそう言われるとよく自覚した。
「そりゃ弱いわ」
「それもかなりね」
「さっきまでね」
「まともに動けなかったわね」
「いや、辛かったわ」
 今はすっきりとした顔だがだ、ジュディは湯舟の中でプリシラに笑って話した。三回目の湯舟の中ではかなりすっきりしている。
「そろそろ完全復活だけれど」
「ええ。ゾンビだったわね」
「自分でも思ったし」
 こうプリシラに話した。
「あの時はね」
「まだほんの三十分前かしら」
「四十分でしょ」
「それ位かしら」
「多分ね、いやけれどそれが」
「人間に戻ろうとしてるわね」
「嘘みたいよ」
 ゾンビの様にという位までに死にそうな状況だったがというのだ。 
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