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レーヴァティン

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第八十八話 大坂に戻りその十

「第一の力は軍勢だ」
「武の方は」
「警察は治安を護るがな」
「それ以上ではないですから」
「だからだ、軍勢だ」
 その力を持ってというのだ。
「そうしてことを進めていく」
「強い軍勢があればこそ政も出来る」
「金もな」
「それが現実であり」
「どの世界も同じ筈だ、俺達の日本もだ」
 英雄は自分達が起きている時の世界のことも話した。
「自衛隊にとやかく言う奴もいるが」
「しかしですね」
「国防だけでなくな」
「国の秩序を護る為にも」
「必要だ、若しも軍がなければ」
「国防も国の秩序を護ることも」
「出来ない筈だ」
 これが英雄の考えだ、そしてこの考えは十二人も持っている。
「無政府主義、無法をよしとするとな」
「辿り着く先は世紀末ですね」
「ああした社会になる、核戦争後か大地震の後かはわからないが」
 その辺りはというのだ。
「そんな世界になるとな」
「まさに弱肉強食の」
「それではこの島、世界を救うなぞ」
「出来る筈がない」
 到底とだ、英雄は結論付けた。
「だからだ」
「財力と武力を」
「まずは備える」
 この二つをというだ。
「そうしてだ」
「権力を得てですね」
「島の統一をはじめる」
 大阪で旗揚げをしてというのだ。
「そうする」
「それが筋ですね、では大阪に戻れば」
「忙しくなるわね」
 奈央が微笑んで言ってきた。
「何かと」
「金儲けからはじまってな」
 幸正がその奈央に応えた。
「儲ける基盤も固めてだ」
「そのうえで」
「より儲ける、儲ければ儲けるだけだ」
 それだけとだ、幸正は言うのだった。
「力になる」
「お金は何の為にあるのか」
「我等の場合は使う為だ」
 力を手に入れる、その為のものだというのだ。
「儲けることが目的ではない」
「そこ大事よね」
「そう思うな」
「確かにね」
 奈央は幸正に笑って答えた。
「少なくともこちらの世界ではこれまでお金に困ったことはないわ」
「我等が贅沢して貯め込む位はな」
「普通にあるから」 
 それ故にというのだ。
「だからね」
「特にな」
「そうした意味ではお金に困ってこなかったけれど」
「それでもだ」
「勢力としてのお金儲けね」
「それを行う、そしてだ」
 そのうえでとだ、幸正は奈央にさらに話した。
「その金で色々していく」
「兵を雇って」
「内政にも使う」
「本当にまずはなのね」
「金だ、だから儲ける」
 大坂に戻ればというのだ。
「それが間違いなく大きな力になる」
「そういうことね」
「じゃあね」
「大坂に戻れば早速金儲けをはじめる」
「うんと儲けるぜよ」
 当季も笑って幸正に続いた。 
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