八条学園騒動記
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第四百九十八話 朝風呂でその十一
「おかしいわよね」
「RPGじゃ本当にね」
「序盤に出て来る」
「雑魚キャラなのに」
そうした敵だというのにというのだ。
「それがね」
「映画だと強いことが」
「私ずっと不思議に思ってるけれど」
「それを言うと私もよ」
プリシラもそうだと答えた、ここで二人共同時に湯舟から無言で頷き合った後で出た。もう熱くて湯の中にいることが我慢出来なくなったのだ。
それで冷水シャワーを浴びながら二人で話した。
「ゾンビというとね」
「雑魚よね」
「スライムとかオークみたいなのに」
「グールの方が強いかしら」
「そういえば大抵のゲームでそうね」
「グールの方が強いわね」
「どういう訳か」
グールもまた生ける屍である、そうした意味ではゾンビと同じだ。
「そうよね」
「まあグールは考えてるのよね」
「そうした風ね」
「サハラのお話とかによく出るけれど」
元々イスラム圏のモンスターでありアラブの童話やホラーの話では定番の敵役の一つであることが知られている、
「ゾンビは知能はないけれど」
「グールはね」
「思考があって」
「人間と同じ位に」
「それで強いのかも知れないわね」
「そうよね、RPGでも」
「けれどゾンビは」
プリシラは冷水シャワーで身体を冷やしつつジュディに話した。
「思考ないから」
「あれ操られてるのよね」
「ブードゥ―教ではそうね」
この時代もハイチに存在している宗教だ、ただこの時代でもゾンビのことから誤解している者が多い。
「それで映画とかだと」
「謎のウィルスでなってるわね」
「大抵そうよね」
これはゾンビ映画の定番の設定だ。
「ウィルスでね」
「ゾンビになるわね」
「大抵は。けれど」
「実際は呪いとか操られてよね」
「RPGのゾンビはね」
「それでウィルスでなっても」
「ゾンビはゾンビでね」
まさにとだ、プリシラはジュディにシャワーを渡して今度は桶に冷水を入れて身体に浴びせつつ言った。
「知能はなくて」
「動きも鈍くて」
ジュディは先程自分がしていた様に桶に冷水を入れて身体に浴びせて冷やしているプリシラを見つつ答えた。
「強いとはね」
「思えないわね」
「どう見ても。けれど」
「映画だとね」
「強いわね」
「どんどん増えていくし」
ゾンビが人を食い食われた人がゾンビとなってだ。
「パンデミックにね」
「なるのよね」
「それでどうしていくかって展開だけれど」
結丸はハッピーエンドの場合もあればバッドエンドの場合もある、バッドエンドは街なり星なりがゾンビに支配されるものだ。
「私どうしてもね」
「ゾンビが強いとは思えないのね」
「ウィルスだって」
この定番の設定もというのだ。
「ワクチン開発すればね」
「終わりね」
「ワクチンのないウィルスなんてないでしょ」
「有り得ないわ」
プリシラも言い切った。
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