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レーヴァティン

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第八十八話 大坂に戻りその六

「そうさせてもらうぜよ」
「そうするか」
「おまんわしの商売は不安じゃな」
「大きいことが好きだな」
 幸正は当季のその商売の仕方について尋ねた、彼の性格から推察したうえでのことだ。
「そうだな」
「おお、そうじゃ」
「そうだな、それは当たると大きいがな」
「外れるとか」
「大変なことになる」
「わしはいつもそうじゃ」
 大きいこと、それをしたがるとだ。当季も答えた。
「何でものう」
「闘いの時もそうだしな」
「おう、男はでっかいことをしろ」
 当季は笑ってこうも言った。
「お父ちゃんにもお母ちゃんにも言われてきたぜよ」
「だから大きなことをだな」
「したがるぜよ」
「それでか」
「そうぜよ、だからな」
 それでというのだ。
「わしは商売もじゃ」
「大きなことをしたいか」
「そうぜよ」
「それはいいが」
 しかしとだ、ここでまた言った幸正だった。
「外れる危険を考えるとな」
「わしのやり方には賛成出来ないか」
「どうもな、確かに海賊の商いも大きいが」
 しかしと言うのだった。
「魔物もいる荒れることもある湖や川に出るからな」
「命懸けじゃな」
「しかしだ、御前よりはだ」
「安定志向じゃな」
「そう思う、だからな」
 それ故にとだ、幸正はまた当季に話した。
「ここはだ」
「おまんが商いをするか」
「そうするつもりだ、どうだ」
「なら二人でやってくれ」
 英雄は二人のやり取りを聞いてこう述べた。
「そしてだ」
「そのうえでか」
「金を儲けろっていうんじゃな」
「とにかく金と兵だ」
 この二つが欠かせないというのだ。
「そして兵には金が必要だ、金が得られるならだ」
「それならだな」
「やってくれ」
 幸正にも述べた。
「是非な」
「それじゃあぜよ」
「商売は我々だな」
「とにかく金だ」
 英雄は言い切った。
「この世界でも金がないとな」
「結局であります」
 峰夫も言ってきた。
「何も出来ないであります」
「冒険も政もな」
「そして戦も」
「何かをしようと思えば」
「まことにであります」
「金だ、兵も絶対だが」 
 それと共に、もっと言えばそれ以上にというのだ。
「その兵を雇い持ち続ける為にもな」
「金でありますね」
「それが必要だからな」
 それ故にというのだ。
「いいな」
「金でありますね」
「それを手に入れる、それも多くだ」
「何ならね」
 今度は桜子が言ってきた。
「増やすこともするかい?」
「博打か」
「いやいや、それで増やせるのはたかが知れてるよ」
 笑ってだ、桜子は英雄に答えた。 
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