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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その四十七

「流石に」
「ないですね」
「はい、そこまでは感じていません」
「では気にされることもないかと」
「田舎ですか」
 ふとだ、バールはこの言葉を出した。
「つまりは」
「田舎ですか」
「はい、モンゴルは田舎です」
「連合の中の」
「そうしたものですね」
 こう考えて言ったのである。
「つまりは」
「少なくとも他国から見ますと」
 マウリア、サハラ、そしてエウロパといった国々である。
「連合はどの国もです」
「驚異的な先進技術を持っているのですね」
「はい、まさに」
 こう言うのだった。
「その田舎であっても」
「そういうものですか」
「二十世紀前半でいえばあらゆる地域に水道が通り」
 当時の最新のインフラと言っていいそれがというのだ。
「そして電話も通っている」
「そうした国ですか」
「連合は、しかもテレビもある」
 二十世紀前半はまだなかった、日本では第二次世界大戦後に出現し昭和三十年代後半に爆発的に普及した。
「そうした国です」
「まさに」
「そうです、その中に違いがあっても」
 国ごとによってだ。
「それは他国から見ればです」
「微々たるものですか」
「そうかと、そしてその技術を」 
「これからもですね」
「発展させていくべきです」
 必ず、という口調での言葉だった。
「やはり」
「技術、そして文明はですね」
「進歩してこそです」
「人を幸せにしますし」
「国力も上げていきます」
 そうなるからだというのだ。
「是非共」
「それは、ですね」
「はい、そうです」
 必ず、というのだ。
「停滞は許されません」
「それはですね」
「絶対にです」
 それこそというのだ。
「停滞すればどうなるか」
「他国に遅れを取りますね」
「欧州はかつて産業革命の発信地となりました」
 十八世紀末からイギリスで起こった、ここから欧州の爆発的な発展がはじまった。
「そしてでした」
「大航海時代から行われていた侵略がですね」
「さらに激しくなり」
「多くの国、民衆が犠牲になりましたね」
 その欧州各国の侵略によってというのだ。
「技術的に圧倒していた彼等によって」
「ですから」
「再びエウロパに攻められない為にも」
「それが数百年先であっても」
 それでもというのだ。
「あってはならないので」
「だからこそですね」
「技術は常に進歩していなければなりません」
「停滞は許されませんね」
「鏡の国のアリスですね」 
 八条はその産業革命のはじまりの国から話した。 
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